動力の話 その2

さてさて、家畜の次に何を使ったか?
ここで、いよいよ人工動力の誕生となります。

と行きたいところですが、その前に自然エネルギーの利用があります。
皆さんご存じの水車とか風車ですね。

そして、それらの多くはどこで用いられたのか?
それは、炭鉱です。
もちろん粉を挽いたりという用途はあったのですが、その後に繋がる発展を考えると鉱業を語るべきでしょう。

というわけで、いってみましょう。

当初、炭鉱で掘った石炭を坑道の外に運び出す際は人力。
掘っていくと水が出るので排水が必要になるのですが、それも人力でした。

初期の運搬方法は、背負ったり、ソリを使ったり。
排水はバケツや手押しポンプを使いました。
後に車輪が付いた手押し車で石炭を運び、それが木製のレールを用いた手押し台車になり、より大量に長距離の運搬が可能になりました。
摩擦を伴うソリから、車輪へ。そしてレールを用いてさらなる高効率化となったわけです。

その後、人力の代わりに馬を用いて木や鉄のレールを用いたトロッコを牽かせました。
これが後の鉄道の原型です。
馬や牛、ロバは、排水ポンプやウインチの動力源にもなりました。

これらと並行して水力が導入され、水車の力で排水ポンプや巻上機を動かしたのです。
ただしこの方法では、近くに川がある必要があるし、その水が少なすぎても多すぎても仕事になりません。

いずれの方法でもウインチやポンプが用いられ、これが機械化の始まりとなります。

その後、やっとここで人工動力の登場となります。

原始的な蒸気機関がトマス・ニューコメンによって発明され、排水ポンプとして利用されます。
この蒸気機関は、蒸気機関車のように忙しなく動くものではなく、石炭を燃料として発生させた蒸気を用いて、ゆーっくり上下運動するものでした。
つまり、石炭で水を汲み上げて石炭を掘るといったサイクルです。
これによって、採掘深度が数百メートル規模へと拡大し、産業革命の基礎となります。

蒸気機関が発明されたので、そこで蒸気機関車の登場…とはいきません。

つづく

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