コミュニケーションの問題

学生のコミュニケーション能力の低下が問題だ
と言われ始めてずいぶん経ちます。

これに対して
ゲームとかネットとか
そういうものが原因だと
そんなことも言われてます。

誰に言われてるかというと
そりゃもう年長者からですよ。

でもね、そんなもんのせいにするな
と言いたいですよ。
ネットだってゲームだって
それ自体作ったのも環境作ったのも年長者じゃん!って。

それに、若年者ばかりがそういう能力が低い
という言い方も問題あると思います。

年長者のコミュニケーション能力だって低下しているのではないでしょうか。
私自身、自覚があります。
「あぁ、低下していますとも!」
と言えるくらい。

「そんなのお前だけだ!」
といわれたら身も蓋もありませんが。

でもね、便利な世の中ってそういうものでしょう?
面倒なコミュニケーション取らなくても
色々できるってことですもんね。

そのトレードオフとしてのコミュニケーション能力の低下
ってことになっているのではないかと思っています。

で、問題は
コミュニケーション能力が低下しているということ自体ではなく
どうやってこれを良くしていくんだい?
ということです。

外発的に「こうせい!」と言ったところで
一時的には何とかなったりするかもしれませんが
本質的には解決しないでしょうね。

やはり、何かしらの内発的な欲求を伴ったことで
変えていけると良いと思うのです。

夢工房の活動でも問題は見えています。

チームで何かやっているとき
同じ仕事をしている仲間が
チームが目指しているゴールから逸れている行動をしているとき
それを指摘できるか?
(それが見えているか、ということも含めて)

これ、彼らにしてみると結構難しいんです。

だって小さい頃から

間違うな
失敗するな
お友達とは仲良く

という要件に従ってやってきたんですから
意見を戦わせて
仲間とぶつかりながら
洗練されていって
ゴールを目指す
なんてのは難しいんでしょうね。

特に学生の場合
基本的な関係が「お友達」ですから
意見がぶつかるとかってのは嫌われちゃいそうで
なかなかできないようですね。

勝つのか!?
仲良くしたいのか!?
と選択に迷うようでは
本当の仲間になんてなれないと思います。

チームで大きな目標に到達するのであれば
そんなこと言ってる場合じゃないんですが
そういう習慣でやってきて
何とかする機会が無かったのだから仕方ない。

…仕方なくない!

子曰く
君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず

ってありますが
まさにそれです。

これを何とかして
デッカいゴールに到達しましょう!そうしましょう!

これを何とかして
勝利に一歩近付くのだ!

夢工房には
社会に出る前に最近の学生の多くが経験したことがない
人間関係を構築するチャンスがあります。
社会人にとっては当たり前な人間関係ですが
今や多くの大学ではそういう経験をするチャンスが
無くなっているのでしょうね。

我々はやりますよ。

ビギナーにはビギナーのやり方

好きなことをやっているか
やっていることを好きになる努力や工夫をしているか
というのは大事です。

というのも
何をやるにしても
嫌々やっていると奴隷的なマインドになるものです。
そんな状態で
うまくいくわけはないし
面白いわけもないでしょう。
もちろん本人だけでなく
周囲だって同様ですよね。

で、重要なのは
何をやるか?
どのようにやるか?
ということになるのですが
皆がやっていることや方法だったり
既存のもの・ことである必要はないわけです。
まして、人から言われたものである必要もありません。

どこかで
弁護士とフリーターを比べた話を聞いた覚えがあります。

弁護士だって、嫌々やっていれば奴隷的な仕事になるし
フリーターだって、本当にやりたいことをやっているならライフワークになる

という話でした。

確かにその通りだと思います。

結局、「何のために」それをやっているのか
という所が重要なのですね。

即ち、戦略とかビジョンとかの
上位概念が重要だよ
ということになるのでしょうけど
こういう話しをすると
具体的で明確で実現可能性が…
なんてことになりがちです。

なので、まずは考えて
明確になるまで考えて
失敗しないように考えて
…時間切れになるのです。
そりゃいかん。

いいんですよ
まず言ってみて、すぐにやってみましょう。

若いうちは
そもそも経験が少ないので
戦略立案のための見積もりができないものなのです。
それに上位概念なんてのは曖昧で抽象的なものですしね。

なので、ちょっと考えたらやってみて
将来の地図なんて、何度も描き変えたらいいんです。

でも、ゴールはそのままに経路を考える
という感じにできると良いですね。

しっかり戦略を練って
ズバッと一発で決める
なんてのは
老練なプロのやり方です。

そうなるためにも
若いうちは経験の数を増やしながら
戦略を練ったら良いのではないかな
と思うのです。

学生の近未来像

学生達の成長を願って
日々色々やってる
…と言うより
日々色々やってる学生達を見守っているのが正確なところか(笑)

いずれにせよ
これからの世の中に必要とされる若いエンジニア像を想像しながら
学生達に付き合っています。

社会情勢とか
多くの一般的な学生の傾向なんかを見て考えて
そんな日々で見えてきたことを書いてみましょう。

工科系の学生というと
技術に関する勉強が中心なわけです。
当然、限られた領域を深掘りする傾向があります。

ここ数年の傾向と
コロナ禍での変化を併せて
どのような変化をしてきたかというと
限られた領域の深掘りではなく、浅くなってきているな
という気がします。

これ、仕方ないことでもあるのですが
手を動かす機会が減ってきて
さらに
フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションの機会が減ったことにより
対人、対物のリアルな感覚や、スキルレベルが下がっているな
という印象を受けます。

なもんで
物を触っても
人と対峙しても
こりゃ、うまくいかんでしょうなぁ
という残念な感じになってきた気がします。

残念な、というより
かなりマズイと言った方が良いかもしれません。

しかし、マズイマズイ言っていても何も変わらないし
私ごときにはこの流れは変えられるはずもないので
当然ですが、自分の守備範囲で可能な限りやらせてもらいますよ
という感じでやってきました。

現時点で、学生達の思い通りに大学には来られないものの
かなり登校の機会が増えているので
以前に比べれば「人」「もの」に触れる機会はともに増大しました。

以前の自粛期間においては
オンラインでかなり深いコミュニケーションを取っていたので
その辺は、夢工房の連中は比較的高いレベルを維持できています。

加えて、オンラインでの設計アドバイスも高頻度でやっていたので
実際に物体に触れずとも、それに代わるものづくりの知識習得や
企画から設計までの経験は積んでいます。

さて、これからどうするか。

短期的には
経験知の習得によって
直観的な判断と
スピーディーなアクションができるように
ものに触れる機会を増やして
スキルの習得を加速させて
とにかく経験の数を増やす。

さらに
チャレンジする心を強化すると同時に
それを支えるチームの体制強化
といったところでしょう。

中期的に考えるなら
技術の深掘り…なんてのはヨソに任せて
ジェネラリストを育成すべきだろうな
と思ってます。

なんと言ってもこれからは少子高齢化ですので
単純に考えてエンジニア一人あたりの守備範囲が広がるはずで
広範囲にわたって色んなものをマネージできる人材が必要になるはず。

もちろん全体的な傾向としては
コミュニケーションが苦手な人が増えてきているので
強いチーム作りに貢献できる人材とか

定型的知識の記憶より、むしろ経験知の習得と利用に強かったり
クリティカルシンキングができて臨機応変の対応ができる人材とか

この辺が目標かと思っています。

もちろん、他に対する競争力
というのもありますが
これで世のお役に立てるはず。

チャレンジする学生達が
海外大会で頑張る!
なんてことをやっていると
この辺のことは大抵手に入るはずです。
もちろん、単に「やっているだけ」ではいけません。

学生達は、より高い成果を残すために
より本気でチャレンジし続けるための工夫を毎日しています。

今日は、午前10時から午後5時まで
20人を超えるメンバーが
これからどうやっていくかというミーティングをしてました。
長い時間話し合えば良いってもんじゃないのは分かっていますが
学生が自発的にこれだけ頑張れるというのは凄いことだな
と思うのです。