EVの電池について

前回の投稿で
「ガソリンはバッテリーの100倍くらいエネルギー密度が大きい」
というようなことを書きました。

今回は
ガソリン自動車の燃料タンク
イコール
バッテリー
では無いのですというお話を。

どういうことかというと
燃料タンクは単に燃料の入れものですが
バッテリーは違うんですよという話です。
電気に詳しい人にとっては当たり前な内容で恐縮ですが。

バッテリーは大きさと性能によって
入れられるエネルギー量が決まるのはもちろんですが
出すときの性能も重要なのです。

つまり
超ハイパワーなモーターがあったとしても
いっぱい電気が貯められるバッテリーがあったとしても
超加速が良くて超スピードが出るクルマになる
というわけではないということです。

ガソリン自動車は単にハイパワーなエンジンで性能を上げられますが
EVの場合はモーターだけで単純に性能を上げられません。
ドーン!とたくさん電気を吐き出せるバッテリーの性能も必要になります。
バッテリーは単なる電気の入れものではないということです。

なので
エンジン+燃料タンク
イコール
モーター+バッテリー
と言った方が分かりやすいかもしれませんね。
出せるパワーはモーターとバッテリーの両方で決まる。

EVの時代がやってくると
バッテリーには色々な要求が課されます。

軽くて
小さくて
ロス無くたくさんの電気がすぐに入って
放っておいても電気がなくならず
ドカンと電気を出せて
安全で
レアな資源をあまり使わずに
寿命が長くて
しかも安い

そんな高性能なバッテリーが求められます。

でも多分、当分は無理なので
当面は使い方を変える
つまり今のクルマのあり方を変える
という方向に進まざるを得ないでしょうね。

EVによって本当に環境負荷を低減できるのは
革命的な性能を持ったバッテリーが誕生したときだと思います。

ダイソンの充電式ハンディクリーナーのバッテリーを「殻割り」してみました。
結構繊細な制御基板が入ってるんですね。

きけんなのでよいこのみんなはまねしないでね

電気の時代がやってくる

経済産業省が
2030年代半ばにはガソリン車の
新車販売をなくす目標を設ける方向
で調整するそうですね。
ビッグニュースですが
経済産業省のサイトには情報がありません。
なんでだろう。

「目標を設ける方向で調整」ですから
「目標を設ける」
とすら明言していないわけですが。

もしガソリン車をなくすということになれば
ハイブリッドや燃料電池を含む電動車両にスイッチする
ということですね。国策として。

ところで
電動車両は最近に始まったことではありません。
1900年頃のアメリカでは
色々な動力源を持った自動車がありました。

100年以上前に
蒸気自動車
電気自動車
ガソリン自動車

の3つがあり
それぞれ異なるメーカーが作っていました。
消費者は、これらから選択できたのです。

当時のそれそれに対する評価はどうだったのでしょうか。

蒸気自動車

長所
・スピード速い 登坂力大
・発進加速力大
・静粛 振動小
・変速操作不要
・始動にクランク不要

短所
・操作に専門知識必要
・火災の危険
・頻繁な水の補給必要
・冬季ボイラー凍結
・冷間時の始動に時間かかる

電気自動車

長所
・静粛 清潔 振動小
・においなし 排気なし
・運転容易
・整備の手間がかからない
・始動にクランク不要

短所
・航続距離短い
・電池重量過大
・スピード遅い
・電池交換必要

ガソリン自動車

長所
・長距離走行手間かからず
・修理 運転容易
・スピードそこそこ速い

短所
・うるさくきたない
・ひどい振動
・有毒な排気ガス
・始動にクランク必要
※「クランク」とはエンジン始動のために
車の前方から突っ込む棒です。
これを人力で回してエンジンを掛けるのですが
労力が必要だし
突然逆転したりして怪我をするなど
評判が悪かったのです。
ウィキペディアにはスターティング・ハンドル
として解説がありますね。

それぞれの長所で言えば
蒸気自動車は静かでパワフルだったし
電気自動車は静かで清潔で運転が簡単だった。
ガソリン自動車は長所そのものが少ないですね。

でも皆さんご存じの通り
生き残ったのはガソリン自動車です。

興味深いのは
ガソリン自動車が生き残ったのは
長所が他より優れていたからではないということです。
その理由は短所にありました。

蒸気自動車はボイラーの短所
冷間からすぐに走り出せなかったり
水の補給が必要とか冬は凍っちゃうとか

電気自動車はバッテリーの短所
エネルギーがあまり入らない割には重いし大きい
寿命の割に値段が高い
すぐに電気がなくなる割に充電に時間がかかるとか

これらが技術的に解決できなかったのです。
そして基本的なところは現在も変わっていません。

対してガソリン自動車の短所は技術的に解決可能でした。

さらにガソリンはエネルギー密度が高いことも大きな理由の一つでしょう。
同じ重さならバッテリーの100倍くらいエネルギー量が大きい。

その後
スターターモーターが装備されて
エンジン始動が容易になり
ヘッドライトがアセチレンランプから
電球で点灯するようになるなど
電気によって利便性が向上したのも皮肉です。

この当時に存在した電気自動車ですが
ネバダ州にある
世界最大のクラッシックカーの博物館
National Automobile Museumに行った際
実車を見ることができました。
写真撮っておいてよかった!

著者撮影

博物館の説明板より
1912年製 ベイカー V スペシャル・エクステンション・クーペ(Baker V Special Extension Coupe)
当時の価格は2,700ドル
モーターの駆動電圧は60ボルト

ウォルター C ベイカーがオハイオ州クリーブランドに設立したBaker Motor Vehicle Companyにて製造された電気自動車である。彼は最も洗練されたアメリカ製の電気製品を作った。
静かで発進と運転が容易だったので特に女性に人気があった。
1900年にニューヨークのマジソンスクエアガーデンで開催されたナショナル・オートモービル・ショーで発表され、軽量な構造で注目を集めた。
50マイル(80km)毎に充電が必要で、高速走行や坂道の登坂後はすぐに充電が必要になった。そのため郊外を移動するより街中を移動する用途に適していた。
蒸気自動車は650~1,500ドル、ガソリン自動車は1,000~2,000ドルだったのに対し、電気自動車は1,250~3,500ドルで高価だった。
値段が高い割に長距離移動ができなかったため1916年に生産打ち切りとなった。

そして時代は電気自動車にシフトしようとしています。
今回はどうなるでしょうか。

今日と同じ明日は来ない

地球は自転しています。
地表での移動速度は、赤道面上で約1,700km/hです。
音速は1,225km/hですので、それよりはるかに速いですね。
ちなみに拳銃の弾の速度は音速くらいです。

我々はこんなに凄いスピードで毎日グルグル移動しています。
皆さんお疲れさまです。

で、単に同じところをグルグルしているかというと
そんなことはありません。

地球は太陽の周りを公転していて
公転直径はざっと299,195,741kmです。
桁が多すぎてピンときませんが。

これを1年で1周するので、移動速度は
61,773,674km/h
1秒に約17,000kmです。
速いです。
実に光の速度の20分の1に達します。

さらに宇宙は膨張し続けています。
67.4km/sec/Mpcで。
Mpcって何だ!?
自分で調べて下さい。

このMpc抜きでも
地球の公転1周後
つまり1年後には
2,125,526,400kmの彼方に移動しています。

つまり我々は

地球の自転によって
音速を超えるスピードでグルグル周回しながら

地球の公転によって
1秒に約17,000kmのスピードでグルグル周回して

宇宙の膨張によって
その先がどうなっているかわからない
未知の空間に向かって凄い勢いで突き進んでいるのです。

同じところを周回するのではなく
あたかもネジの螺旋を描くように移動しています。

なので
1日後も
1年後も
前回と同じところに戻ってくるわけではないのです。
そう
毎日、毎年同じことを繰り返しているのではなかったのです!

ところで
遺伝子工学の第一人者である
村上和雄先生がこんなことを仰ってます。
「一つの命が生まれる確率は
1億円の宝くじが100万回連続して当たることに匹敵する。」

つまり人の命は凄くレアで
存在自体が奇跡的なものなのです。

人間の歴史なんて
地球の、宇宙の歴史に比べれば一瞬です。
誤差みたいなものです。

そんななかで
我々は奇跡的な命を頂いて生きている。

それはもう凄いことです。

皆さんは
自身が持っている
凄いスピードで宇宙空間をぶっ飛んでいる
その奇跡の命をどう使いますか。

めんどくさいから後でやろう
とか
失敗したらどうしよう
とか
やってる場合ではないですよ。

今日と同じ明日
今年と同じ来年
そんなものは存在しません。

先がどうなるかわからないのに動けない
先がどうなるかわからないから自分で作っていく
どちらを選ぶかは自分次第です。

「今日が人生最後の日と思って生きよう」
とか言ってもピンとこないと思うけど
こんな表現なら腹に落ちるのではないかな?

どうでしょうか?

ARLISS2014 ネバダ州ブラックロックデザートにて

模擬惑星探査機の実証実験イベントARLISS
これも熱いですよ!