教育のインフレが起きる

インフレ(inflation)とは、そもそもは物価上昇の意味ですが、供給過剰によって価値が下がるような場合にも使います。

今回何を言いたいかというと、少子化に伴う学校が持つ価値の変化です。

大学の数が変わらないまま少子化になるとどうなるか。
まさに今がそういった状況ですが、今はまだ「入り口」に過ぎません。

どこの学校も生き残りを賭けて定員を満たそうとします。
ある程度の学費を得られなければ学校を運営できませんから人数は重要です。

具体的に何をするかというと、入試のハードルを下げて間口を広げるのです。
そして、大学院への進学を勧める。
そうやって学生数を確保しようとします。

それはもちろん、大学のレベルの高低を問わずです。
なので、いわゆる上位の大学もハードルが下がってに入りやすくなります。

学生は、有名どころや、選ばれる特徴を持った大学に集中します。
恐らく難易度の高い方へ(というか、聞こえが良い有名どころへ)シフトしていくのでしょうね。

各大学は入学した者のうち、レベルの低い者にも合わせる必要があります。
問題は、学力のみならず、モチベーションも大きく関係してくるわけで、モチベーションの低い者に合わせるということは、単純に低レベル化するということです。

さて、今や大学への進学率は50%を超えています。
それだけ多くが大学への進学を望んでいるのですが、その理由は、企業が採用において大卒で足切りをしているからでしょう。

そもそもなぜ大学に進学する価値があったかというと、大学でしか得られない知識があったからです。
だから企業は大卒を採用してきたわけです。

しかし、今や生成AIの登場で、知識のコストは急激に低下しています。
ほとんどタダと言っても良いくらいです。

で、今後どうなるかはアメリカの現状に現れています。
最近は、就職において大卒の資格が求められなくなってきた…と。
つまり、単なる知識にお金を使う必要が無くなってきたということです。

実をいうと、我が国の大手自動車メーカーの採用担当者が、数年前にこんな発言をしています。

「今後は学部卒と院卒の採用は重視しません」

つまり、単なる知識に金は払わない、ということです。
大卒は採用しないという意味ではありませんが。
これ、単なる噂やネットの情報ではなく、直接担当者から聞いたので間違いはありません。
知っている人は知っています。

大卒の供給過多はすでに起きていて、AIの登場で学歴の価値は低下している。
幸いにして今はまだ目に付かないけど、それらは確実に進行します。

さて、ここまで知識とか学歴にフォーカスしてきましたが、「じゃぁ、何も無くていいのか?」というと、そんなわけはありません。

ここまで述べてきた「知識」は、いわゆる形式知です。
このブログでも何度も触れてきましたが、それらの価値が低下することが、ほぼ確定しています。

では従来の形式知の持つ価値に代わるのは何かというと、「経験知」とか「実践知」とか「暗黙知」と呼ばれるもの。
やらないと分からない事です。

そして、それらはもちろんAIにできないことです。
想像(創造)したりチャレンジしたり、人と人との関係によって生まれることとか、正解の無いこととか…
それらは形式知として教えることができないこと。

おお、夢工房の出番じゃないですか!

さて、ChatGPTに教育のインフレが見えるようになるのはいつか聞いてみたら、色々な方面からの情報を提示して…

+ 知識の希少性の崩壊(技術)
+ 学歴よりスキル重視の雇用構造(経済)
+ 教育制度の改革圧力(政策)
この3つの要素が交差する臨界点が2030年前後と見ています。

ですって。
さて、どうなることやら。

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