環境を巡る問題の本質は

地球温暖化を理由にCO2排出の問題があったり
化石燃料の埋蔵量の問題があったりしますが

結局のところ問題の本質は
石油という液体燃料の存在なのでしょうね。

石油って
採掘に要するエネルギーに対して
採れるエネルギー量がムチャクチャ大きいのです。

石油のもつ体積当たりの(重量当たりも同様)
エネルギー量(この場合はカロリー)
が大きいということです。

簡単に言うと
容易に
でっかいエネルギーが手に入る
ということで
とてもお得で便利な
高性能燃料だということです。

石油ほどではないにせよ
天然ガスや石炭なども同様です。

これらの化石燃料は
地球上の有機物が堆積してできた
と言われています。
つまり、動植物の死骸ですね。
(他の説もあるようですが)

とすると
その大元は太陽です。
太陽光が無いと動植物は育ちませんから。

で、その高性能燃料の恩恵で
超速で生活が便利で快適になってきた
と言っても過言ではないでしょう。

もちろん化石燃料が全ての根源ではないでしょうが
かなりの部分が化石燃料の恩恵によるものでしょう。

しかし、物事は良い側面ばかりを持つわけはなく
必ずダークサイドがあります。
それがCO2の問題ですね。
地球環境に影響を与えるほどに深刻化するぞ
と。
加えて、埋蔵量も無くなってしまうぞ
と。

というわけで
このやり方は持続できませんよ
ということになってきました。

石油が本格的に使われるようになってから
たかだか150年くらいなのに
地球の環境に影響を及ぼすほどの威力です。

太陽の恵みを受けて生成されたエネルギーを使って
太陽光による温暖化に苦しむことになるなんて
皮肉ですね。

そんなこんなで
持続可能なエネルギーを…
という話になってきます。

「電気使えば良いじゃん!」

我が国の場合
その電気のほとんどは
他国から購入した化石燃料を
バンバン燃やして作ってます。
なので、我が国の電気自動車は
化石燃料で動いているということになります。

「太陽光とか風力があるじゃん!」

太陽光は日が出ていないと発電しないので
晴れた日中に発電した分を貯めておく必要があります。

まず、太陽光パネルを設置するとなると
国中が太陽光パネルだらけになります。
関東平野くらいの広さが必要になる
という試算もありますね。

それに
電気を貯めておく電池
これに掛かるコストはもちろん
作るためのエネルギーもどうするんだ?と。

まぁ、風力もしかりです。
日本は常に風が吹いている場所はそんなに無いですし
こちらも色々問題があります。

やっぱり液体燃料のもつ
高エネルギー密度は捨てがたい
ということで
色々な手法で燃料を作る研究もされているようです。

ですが
地中から取り出すような労力で
大量には得られないでしょうし
それに要するエネルギーも問題です。
これ、うまくいったら良いですが。
既存のものが利用できて
無駄が最小限に抑えられるかもしれません。

というわけで
化石燃料の制限が入ると
電気に変えりゃぁ良いという単純な話ではなく
我々人類が使えるエネルギーの総量が制限される
ということになるのではないかと思います。

もちろんそれは
現状の生活の質と量を維持しようとした場合です。

これからは
色々と大きく変わるでしょう。

その変化に対して
どのように対応していくのかが
試されます。
全世界というスケールで。

と、ここまで話してきましたが
悲観的な気持ちになりましたか?

私は
「まぁ、何とかなるんじゃないの?」
と思ってます。
楽観的に考えないと
物事うまく進まないと思ってますので。

何とかするのは
次世代のエンジニア達なんですけどね。

みんな頑張れ!

良い未来を作るために
燃えるエンジニアの卵になっておこう!
今のうちに化石燃料を使って。
(これ、悪意があるわけではなく
そうせざるを得ないと言うことですので
あしからず)

勝負はアイデア つまり人そのもの

自動車メーカーでは
彼我比較(ひがひかく)と称して
ライバルメーカーのクルマを徹底的にバラして
細部まで比較検証します。

前職で、自動車の開発をしていた時は
ドイツの某メーカーの小型乗用車のボディをぶった切って
内部を見たことがあります。

新車をバラしてぶった切っちゃうんですよ。
ゴージャスですよね~。

メーカーが異なるだけでも
設計の考え方は大分違うものですが
国が変わるとなおさらです。

板の重ね方や溶接の仕方
「あ、コレやっちゃって良いんだ?」
とか
「ここまでやるんだ。すごいな~」
みたいな発見があって面白かったですね。

各メーカーが拘っているところは
ぶった切ると大抵分かります。
一般的な構造と違うから。

組み立てやすさとか
衝突時の力の伝達とか
そんなところの工夫を見るのは
他メーカーのエンジニアの
頭の中を覗いているようで楽しかったですね。

自動車の設計って
基本や法規に基づいて
作っていく建築などと違って
構造からアイデア勝負ですから
よその製品を見ると発見が多いのです。

メーカーのプレスリリースを見ても
技術資料を見ても
細部までは分かりません。
やっぱり現物をバラさないと。

もうそういう現場から離れて20年も経ちます。
最近はどうなっているのでしょう。
各社どんな工夫をして
どういうところに拘っているのか
とても興味深いところです。

対して
学生が作るものだって
場数を踏んで視野が広がれば
それなりに拘りを持ったものができてくるものです。

でもやはり
そうなるにはそれなりの時間が必要なわけで
学年が低いうちからガンガンやらないと
それなりの領域には行けないでしょうね。

面白いのは
夢工房でレーシングカーをつくっている連中は
活動発足当初に打ち立てたコンセプトを
いまだに大事にして
新しい解釈をしながら
世代を跨いで追求を続けていることです。

いい加減、違う方向性もうやってみたら?
と言いたくなることもありますが
彼らにとっては
まだまだ「やり代」があるようで
本質の部分を守りながら
新しいアイデアを入れ込んで
性能の過激化を狙っているようです。

活動立ち上げ時のメンバーが
いかに凄いことをやったのかというのは
20年経った今だからこそ実感するところです。

彼らのアイデアを
20年経ってもしゃぶり尽くせないのですから。

現役メンバー達
「初期のメンバーのようにやりたい」
って言いますからね。

今年のイベントはどうなるか分からないけど
今作っているマシンが形になるのが楽しみです。

日程のお話し

開発を進めるに当たって
情報を含めて色々なものを作るんですが
その中でもかなり重要度の高い情報
日程表の作り方をご紹介しましょう。

何かの参考になるのではないかな?
…なるかな?

今回はざっくり説明してしまいますが
これは超重要です。
レースの日程が決まっているのであれば
「やってみないと、いつになるか分からない」
のようなことはできないのです。
学生は良くやりがちですが(笑)
なので、彼らにとっては難しいことの一つです。

ここでは、夢工房の連中が
レーシングカーを作る際を例にとってみますね。

まず日程表を作ります。
日程は

  • 大日程
  • 中日程
  • 小日程

の3種類を作ります。

いずれも「箇条書き」みたいな
文字情報ではダメです。
横軸に時間軸(日にち)を取って
そこに各仕事の所要日数に応じた
棒グラフの棒のような各仕事を配置していきます。
(分かりますか?)
つまり大事なのは
時間軸に対して
どのくらいのボリュームを持った仕事が
どういうタイミングで発生するのか
相互の関係はどうなっているか
それをビジュアル的に分かるようにすることです。
エクセルなんかを使うと良いでしょうね。

最初に作るのは大日程
これはイベントベースの日程です。
レーシングカーであれば、ターゲットにするレースが
この日程のゴールになります。

そしてゴールから逆算して
輸送とか(海外大会参戦では重要)
テスト走行とか
最終組立とか
チーム全体としての設計期間とか製作期間
そしてマシンの企画の期間
そんなことを決めていきます。

こんなふうに
チームの全員共通のイベントが記されます。

学生であれば作業する時間が大幅に変わる
テスト期間
夏休みなどの長期休暇
そんな情報も入れると良いと思います。

次に中日程
これは各パート単位の日程です。

例えば
サスペンションのパートであれば
設計期間とか
製作期間とか
それらを遂行するために何か必要なことなど
そんなレベルが記されます。

最後に小日程
ここまで来ると
必要な全ての部品について網羅している必要があります。

部品単位の設計とか製作
ボルトや材料など購入品の手配とか
最小単位のレベルもここで決めておきます。

この小日程を検討する段階では
全ての部品を網羅する必要があるのですが
この時点では設計は開始されていません。

なので、最小単位の部品の詳細なんて決まっていないのです。
でも、その日程を作っておかないと計画ができません。

こりゃ矛盾ですね。
さて、ではどうするか?

この小日程を作る際には
必要な全ての部品を含む
パーツリストを作るのです。
量産バイクのパーツリストってあるでしょう。
分解図とその部品番号・名称が入ったリスト
あんなヤツです。

え?
詳細を決めていないのに
細かい部品全てを含んだリストを作るの?

作るんです。

なので、小日程とパーツリストを作る時には
パートの構成についての概略を決めておきます。

イラストを描いたりしながら
「こんな部品で構成しよう」
というプランを暫定で決めちゃいます。

そのパーツリストには
図も必要です。
それも暫定で描いちゃいましょう。

設計の途中で
部品の構成や形状が変わったら
その度に描き直すのです。

面倒かもしれませんが
そうしないと全ての部品を
漏れなく管理することはできません。

例えば
「ボルトなんて、マシンを組む時に
そこらから見付ければいいや」

なんて考えていたら
事前にマシンの重量もコストも分かりませんし
大抵うまくいかなくてカッコ悪いことになります。

なんか統一感のない部品が使われていたり
ナットを締めた端末から
ボルトのおねじが、びよーんと飛び出ていたり
そもそも部品の手配が間に合わなかったり
そんなことが起きます。

3次元CADで設計しているなら
設計が完了した際に
最終的なモデルデータから図を起こして
パーツリストをメンテナンスしておけば
完成後の管理や
後の開発にも役に立ちます。

と、こんな感じでざっくり説明してしまいましたが
一番難しいのは
各作業に要する時間の見積もりだと思います。

日程を立てる段階で
各作業のボリュームを元に組み立てていくわけですが
日程を組んでみたら
とてもこんな期間じゃ終わらない
ということが発覚したりします。

その際は
仕事のボリュームが小さくなるような変更をしたり
その期間で終わるような工夫をしたりします。

また、日程にある
それぞれの作業には
経験の無い作業も含まれているわけです。
それらに要する時間を見積もらないといけない。
これ、プロでも結構難しかったりしますので
学生ならなおさらです。
この辺は経験とか想像力がものを言いますね。

学生にとって
日程を守るのが難しいもう一つの理由が
やりながら彼らは成長している
ということです。

やっていると
どんどん分かってきて欲が出てきます。
それを盛り込んでいくと作業時間は延びていきます。
もちろん日程を守れなくなる。

その辺にどうやって折り合いを付けるか
それも成長の一つなんですね。

技術は人なり