続 アイデアのお話し

以前、アイデアを出すことについてお話ししました。

今回は具体的にどうハンドリングするか
ということについてお話ししましょう。

もっとも「やりかた」なんてのは千差万別であって
色んな方法があります。
でも、誰かしらのやりかたを聞いておくのは参考になるでしょう。
というわけで、私なりのやり方をば。

ポイントは
書き出すこと
言うこと
すぐにやること

だと思っています。
つまり何かしらのアウトプットをすることです。

アイディアは頭の中から外に出して、書き出しておきます。
そして、可能ならすぐに取りかかること。
失敗するかもしれませんが、それでいいのです。
失敗したら、その結果を次回にフィードバックすればいい。

こうして常に頭の中を空にしておけば
常にすぐに次の仕事に取りかかれるし
優先順位も実際に自分の目で見えるし
やり方によっては仕事の並列処理ができます。

こういうのを多くの人は
自分の頭の中でやろうとしています。

でも実はそれ
凄く高度なことです。

頭の中でイメージを生成して
それを明確化しながら構成して検証して
具体化してからアウトプット?
無茶言っちゃいけません。
そんなの無理ですからやめておきましょう。

紙に書き出してしまえば
それはもう覚えておく必要はありません。
ノートは頭の中の領域を拡張するツールです。
PCの増設メモリみたいなものです。

そうそう、ここで「紙」と言いましたが
「紙」が良いのです。

アイデアを具現化するプロセスで
例えば部品の設計などで
頭の中のものをいきなりPCのCADを使って
図面にしたがる人が多いと思います。
これ、ダメです。

頭の中のアイデアは
超曖昧です。

これを
曖昧さゼロのCAD情報にしましょう
と言っても無理なのです。
絶対に不可能とは言いませんが
大抵、良い結果にはなりません。

超曖昧な頭の中の情報は
曖昧さを許す
紙と鉛筆との相性が抜群です。
鉛筆の線は、曖昧な表現ができます。
線一本引くのでも
何かしらのニュアンスを乗せられます。

できればシャープペンシルではなく
鉛筆が良いですね。
繊細な線も迫力ある線も一本で描けますから。
私はHBを使います。

そんな感じで
まずは紙の上でアイデアを遊ばせて
徐々に具体化をしていきます。
これだ!
と明確化できるところまで行ったら
CADにしましょう。

私はCADの前にもう一段階挟みます。
このプロセスから始めることもありますが
万年筆とかボールペンのように
やり直しがきかない緊張感のある筆記具で
最終的なアイデアを描きます。
それからCADです。

そんなやり方めんどくさい?
だったら、一気にCADで図面描いてごらんなさいな。
きっとカッコ悪いものしかできなくて
むしろ時間が掛かりますから。

ちなみに
もし頭の中からアイデアを出さずにためておくと
それは処理できないゴミとなります。
そして見えない形で蓄積されていき
「できなかった」という事実が
いずれ自身を押しつぶします。

つまり「後でやろう」という姿勢は
未来の自分を確実に押しつぶしてしまう準備をしている
ということです。

なので「すぐやる」というのは
実はとても大事なことなのです。

でも、授業では、そういうやり方を許容しません。
間違いがない、完成した答えを求めますから。
時間が限られているので当然でしょうね。

なので、それができるフィールドを手に入れることが
先決なのかもしれません。

ほら、夢工房って良いところでしょう(笑)

やはり技術は人次第

ひょっとして
ひょっとすると

外から無理矢理突っ込まれた教育
これは悲しい結果を生み出すのではないか

自分から好んで取りに行った学び
これは幸せな結果を生み出すのではないか

なんてことを考えることがあります。
具体的に例を挙げてどうこう言えませんし
その「結果」というのが個人的なものなのか
環境も含む他に及ぼすものなのか
そんなこともよく分かりません。

でも、無理矢理突っ込まれた何かを
有効に積極的に利用しようとは思いませんよね。

知っているけど上手に使えない
というのはあまりハッピーなことではありませんよね。

やはり理想的なのは
自分の興味に従って取りに行った何かを
自他共にハッピーになるような使い方をする
ってところですよね。

そんなことを考え始めると
良い技術とか悪い技術とか
ってことを考えますが
基本的に技術には良いも悪いもない
というのは良く言われるところ。
ただ、技術レベルの善し悪し(高低)ってのはありますけどね。

良く出る例えは
刃物でしょうか。

料理に使うも
人を殺めるのも
使う人次第。
切れない刃物は逆に危ない
なんてもの面白いところです。

兵器も同様です。
戦争に使うということは
自国民の命を守るため
ということでもあります。

自動車は、とても便利で
今や我々の生活に欠かせない道具の一つですが
自動車生誕からしばらくは
ひどい排ガスを平気でまき散らしていたわけです。

現在の視点で言えば「ひどい排ガス」なんて言えますが
当時はそれが普通なわけで
時代や周囲の環境の変化とともに
技術に対する見方が変わってくるというのもありますね。

交通事故による死者は世界的に見るとかなりのものです。
これも今後どのように変わっていくのか
大変興味深いところです。

どんなものでも結局は
時代背景や使い方次第
そういうものでトレードオフが決まってくる
そういうことでしょうね。
国民性や信仰などでも変わってくるし。

ということは
技術に関わるものは
どれくらい広い範囲のユーザーを対象とするかとか
どれくらい長期の未来を予測するか
つまり視野の広さと創造力が重要ってことなのでしょうね。

とはいえ
そういうのも絶対と言い切れないところが
難しくも面白いところだと思います。

こういうのは学校だけでなんとかなるものではなかったりするので
やはり個々人が色々工夫する必要があるってことですね。
どのような技術をどのように得るのか、形作るのか
それはやはり人次第なわけで
知識や能力だけではどうにもならんわけですね。

技術は人なり

勝ったり負けたり

グローバルなビジネスなどは
パイの奪い合い
に例えられますよね。
食べ物のパイですよ。
数が限られた麻雀パイでも良いかもしれないし
ピザでも良いかもしれませんけど。

規模の限られた環境で
ライバルがいる中で何かをやる時は
そんな状況になります。

誰かがいっぱい取ると
他は少ししか取れない
そこには競争原理が働くわけです。
強い者が取る!
というより
優れた者が取る!
と言った方が良いのかな?
微妙な違いだけど。

別にこれは特殊な環境とか
世界規模のマーケットに限られたことではなく
我々の日常にもよく見られるものです。

レースしかり
受験や就活しかりです。

レースは日常じゃないだろうって?
いえいえ、夢工房では日常です。
そのために学生達は日々過ごしてますから。

まぁ、それはともかく
パイの奪い合いみたいな状況を
鳥瞰するように理解しておくのは大事だと思うんです。

そういうのを知らないままで
パイカッター作ってもしょうがないと思うんですよね。
どんなパイを切るのかを決めないと
それに合ったカッター作れないでしょう。

今日は何を思ったかというと
多くの学校って
根本にある大事なことを教えてないんじゃないかな
ということです。
難しい理屈は沢山教えるんでしょうけど
もっと大枠の
我々の現状とか
そもそもの起源とか
そういうのをもっと知っておくと
その後の学びは違ってくるんじゃないかなぁ
と思ったのです。
本学は結構教えているのかな。
学校自体歴史ありますしね。

例えば自動車です。

我が国が世界有数の自動車大国(生産側として)
というのは
皆さん何となく知っているんじゃないかと思います。
でも、何となくですよね。

ところが
我が国の自動車産業は異常に強いわけですよ。
こんなに国土面積が狭いのに
こんなに自動車メーカーがいっぱいある国は無いですよね。
これから統廃合が進む可能性も無きにしも非ずですが
バイクメーカーもあわせれば
トヨタをはじめ
ホンダ
マツダ
日産
三菱
SUBARU
スズキ
ダイハツ
いすゞ
日野
UDトラックス
ヤマハ
カワサキ
(略称&順不同)
という感じで凄い数です。
乗用車もトラックもバイクもスクーターも
なんでも作れます。
で、安くて物が良い。

こんな国無いですよ。

というわけで
日本は自動車に関しては
圧倒的な勝者で
パイ取りまくり
なわけですよね。

自動車本体のみでなく
周辺産業まで含めたらモンスターですよ。

さらにこれは自動車に限らず
造船とか工作機械とか電子系とか材料系とか
他の業種でも似たようなことになっている分野も多いでしょう。
ついでに言うなら
鉄道車両も飛行機もロケットも戦車も潜水艦も作れるんですよ。
作れないものあるの!?

なのにパイの全体像を見ようとしないで
細かいところを学んでるとしたら
大変もったいない気がするんです。

だって、この状況を分かっていれば
夢を持って色々妄想をしながら学べるし
少なくとも誇りを持って学べるんじゃないかと思うのです。
そうしたら、状況は変わってくるんじゃないかな。

国にしても学校にしても
「我々はあそこに行くべきだ!」
という方向性が見えないですよね。

こういうこと言うと
「何やろうと個人の勝手じゃん!」
とか言う人がいますが
そう、勝手なんですけど
大方針として大筋が決まってなければ
みんなバラバラの個人の力でやることになるでしょう?
それで、デッカいパイを取りに来たヤツにどう対処するんですか?
と言いたいのですよ。
巨人に対して個人で闘うんですか?
別に社会主義とか全体主義にしたいわけではないのです。
そんな環境では私は生きていけませんから。

企業は強い方針を持っています。
だから強いし生き残っていけてるんですよね。
社員が
「何やっても勝手じゃん!」
で組織が生き残っていける訳ないです。
何で組織でやってるかというと
一人じゃできないことを皆で力を合わせて達成するためです。
超シンプルです。

何も、ガチガチに縛り付けろ
ということではなく
もうちょっとみんな同じ方を向こうよ
と言いたいのです。
緩くて大きな流れのような感じでも良いから。

世の中の状況は
若者の心を形作る鋳型みたいなものです。

力を合わせることができる若者がいなくなっちゃったら…
レース勝てないじゃんか!!

結局そこかよって?
そうですよ。

まぁ、ウチは何とかしちゃいますけどね。

今年は、F1でレッドブル・ホンダが好調なので大変嬉しいです。
みなさん、頑張ってください。
MotoGPも頑張ってね。