想像力を得るには

これを知っていれば
とか
この資格があれば
とか
それで何とかなる仕事も世の中にはあるのかもしれませんが
開発をはじめとする、創造的な仕事はそういうものではありません。
もちろん、知識とかスキルとか経験は大事なのですけど
創造的な仕事には、想像力が必要です。

昨日の記事で
想像力は大事だよね
という話をしたつもりなのですが、ではその想像力を養うためにはどうしたら良いのでしょう?

そもそも想像力が不十分だとしたら、それはなぜ?

色々と理由はあるでしょうけど、端的に言ってしまうと、今まで想像力を必要としてこなかったからだと思います。想像力があまり必要無い環境で生きてきたとか。
必要の無い能力は、伸ばす理由がありませんから。

例えば、親とか先生がやるべきことを指示して、子供が忠実にそれを実行する
みたいな関係だと、子供は想像力は必要無いですよね。
言われたことをやれば良いだけだから。

言われたことを忠実に実行するなら、その時はとても良い評価を得ると思います。
授業の成績が良かったり、言うことを聞く良い子という評価を得たり。

対して、偉人伝とかにありがちな、不遇な幼少期を過ごしている間、想像の世界に逃げ込むようなストーリーがありますが、何かが不足しているような状態だと、その不足分を想像力で補うようなことをしたりするわけでです。
まぁ、不遇な幼少期なんて例えは極端かもしれませんが。

まぁ、理想と現実のギャップを埋めたいといったような欲求が想像力を育むのではないかな、なんて思うわけです。

なので、理想を想像するのがスタート地点…
なのですが、そもそも想像力が無いとスタートできないってことになっちゃいますね。

どうしたらいいのでしょう?

これといった答えはないのですが、今まで学生達を見てきて気付いたことがあります。

何かしらの自己の欲求を達成したいという欲望というのは誰しも持っていると思います。
これが
言われたことをやる、というか、言われたことをやりたいという欲求と言ったら良いのでしょうか、それに対して優先するタイプは総じて想像力が豊かです。

「やりたい!」「欲しい!」「それが必要だ!」
という気持ちが強ければ、想像せざるを得ませんものね。
まぁ、当たり前と言えば当たり前です。

これはもう、本人の価値観の問題です。
結局、人はなりたいようになっている、ということでしょうか。

テクノロジーの発達と我々の人生

別にそれほど大した話ではありませんが、夢工房では週に一度、皆で色々話し合う機会があります。
今日は、こんな感じの話を学生達としていました。

クルマが自動運転で、しかも空を飛んじゃったり、ロボットが炊事・洗濯・掃除をしてくれたり、わざわざ遠い場所に行かずとも、仮想現実で色々経験できたり。
そんなのが私の子供の頃の典型的な未来の暮らしのビジョンでした。
今もさほど変わらないかもしれませんね。

そもそも多くのテクノロジーは、ユーザーの労力やリスクを低減することが主な目的の一つでしょう。そのために発達してきました。

あなたは、テクノロジーが発達して、色々便利に、楽チンになって、安心安全な暮らしになることが理想ですか?
そして、どこまでも果てしなく、その方向で発展していくのが理想ですか?

余計なことは、可能な限り…いや、一切やらなくて済む未来。
一切の困難や苦痛が無く、自らは何もする必要が無く、与えられる楽しいもの、美味しいもの、快楽を受け取るだけで良い。
それが究極の未来の理想?

そんな極端な状態が手に入れられるか否かは別として、もしそうなったとしたら、それは…
単なる消費マシーンではないですか?
そんな状態で、果たして生きる意味があるのだろうか?
そもそも生きる意味って何なのだろうか?

消費に要する代金を手に入れるために、言われたことを我慢してやって、給料という名の我慢代を受け取る。それが仕事?

果たして自分は、そんな未来を望んでいるのか?
そこまで明確で無いにしても、その方向を向いていないか?
そうでないなら、どんな未来を望んでいるのか?
その未来で、どんな役回りをしたいのか?

この件に関して正解は無いと思います。
自由です。
自分で決められます。

皆さんはどうですか?

精密加工から学ぶ

今日は夢工房のメンバーとともに、以前からお付き合いのある小金井精機製作所という会社に工場見学に行ってきました。
夢工房では毎年の恒例行事のようになっています。

何をやっている会社かというと、社名の通り精密加工なのですが、これがちょっとやそっとの精密加減ではありません。
恐らく世界最高レベルと言っても過言ではないと思います。

精密加工と言っても、小さいものとは限りません。
巨大な精密部品もやっています。

分野は空から陸まで。
いや、宇宙までですね。

世界中の名だたる企業からオーダーが入ります。
なぜかというと…そんなレベルの高精度な部品は自社では作れないからです。

個人的な印象としては、最速マシンのための最高の部品を最速で作る、という感じでしょうか。

色々と詳しい業務内容を紹介したいところですが、何せ機密度の高い仕事ばかりやられているので、とても口外できません。
積極的に自社PRできないのも、その辺が理由です。
世界最高峰の技術レベルを持っているのに、表だって宣伝できないのです。

そんな精密部品をどうやって作っているかというと、当然コンピューター制御の加工機を使うのです。
コンピューター制御の機械なら、良い機械買えば精度出るんじゃん?
なんて思ったりするかもしれませんが、ところがどっこい。
誰がやっても同じなら、小金井精機にオーダーは来ません。

そして、求める精度のレベルが極まると
「このレベルのこういう仕事なら、あの人がやるしかない」
といったエキスパートの出番が来ます。

彼らは技術で勝負していますが、「手先」だけではない。「頭」だけでもない。

やはり「人」ですね。
何のために、どう考えて、どうするのか
それによって結果が決まります。

社長さんをはじめ、従業員の皆さんは、オープンなマインドを持った素晴らしい人達ばかり。
実は、当研究室の卒業生はもちろん、本学の卒業生も何人もお世話になっています。

「技術は人なり」
は本学の理念ですが、それを地で行っています。
現場を見せて頂いて、話を聞いて、納得です。
今回も大変勉強になりました。
というか、恐れ入りました、という感じです。

そうそう、皆さんマインドはオープンですが、口は堅いですよ。
仕事が仕事なので。