言ったって分からない でも、やったら分かるね

夢工房にずっといる
ということは
ものをつくる現場にいる
ということなのですが

こういうフィールドにいると
よーく分かることがあります。

「言っても分からない」
でも
「やれば分かる」
ってことです。

表現としては極端ですが
いくら大事なことを伝えたつもりでも
当人がそれを必要と思っていなければ
理解できない
ってことです。

逆に
よく分からないことでも
とりあえずやってみれば
結構色々分かります。

特にものづくりの現場では。
結果だけでなく、プロセスを見られるならなおさらです。

なので、ものづくりのほとんどの工程を
一部屋の中でやっている夢工房は
最高の環境だと思っています。

例えば
図面に描かれた一本の線。

これでどういう考え方をしているか
そんなことも分かったりしますし

企画段階の構想図なども
自分が出ますね。

材料の加工なども分かりやすい。

特に溶接なんかは
手元で大きなエネルギーを扱う反面
とても繊細な作業なので
何を考えているのかとか
時として価値観なんかも分かります。

手元から生まれる物は
自分自身を表したものです。
自分の考え方に基づく力量以上のものは
決してできません。

そんなことなので
何かをつくると
つくったものが教えてくれるのです。

「今のお前はこんなもんだよ」
って。

なので、素直な心を持って
結果を見つめれば
どうしたら良いかが分かるのですね。

明確な答えが分からなかったとしても
「これじゃダメだ」
ってことが分かる。
これ、凄く重要なことです。
やれば何かが分かるってことですから。

本当は、何事もそんなものだと思うのですが
物体を相手にしている場合は
分かりやすいのでしょうね。

中には、失敗したくないとか面倒とか
内的な理由でなかなか手が動かない場合があるのですが
そういう場合は
間に合わない=できない
という結果が出ます。

何事も締め切りがありますからね。
作る部品だって、使うタイミングはあるし
自分の成長に使える時間だって限られている。

学生はよく
「良いものをつくるには長い時間をかけて当然」
と勘違いしがちですが
「そんなものは無価値だ」
という事実を知る良い機会でもあります。

という風に、どんな結果が出ようと
その結果と原因を見つめ直せば
どうすれば良いかが分かる…
と結論付けたいのですが

ところがどっこい
多くの場合は、感情とか価値観の壁が邪魔をして
なかなか前に進めないこともあります。
良くあります。

でも、それも勉強です。
というか
それこそが勉強じゃないかと思うのです。

こういうのって、決められた答えを導くようなことだと
なかなか分かりにくいんじゃないかな
と思うのですが、どうなのでしょう。
専門の人だと、色々分かったりするのかな。

昔ながらの仕事をする職人さんなどに
結構深いものの考え方をする
しっかりした方がいる
というのは、ごく自然なことだと思います。

精度や、品質など、レベルの高いものを
つくろうと思ったら
自分を磨く他ありませんから。

自動車をはじめ、多くのメーカーでは
新人に生産現場の研修をさせますが
これ、凄く理にかなっていると思います。

ま、新人の頃は、その中身の重要性に
気付かないことも多いのでしょうけど。

自分で考えて
自分で作る
そんなことを繰り返している夢工房は
修行の道場みたいなものなんだよなぁ
というお話しでした。

「衝動」に支配される世界 読了

「衝動」に支配される世界
読了しました。
空き時間にチマチマ読んでたので
1ヶ月もかかっちゃいました。

この本、ポール・ロバーツという
ジャーナリストが書いたドキュメンタリー
なのですが

グローバリズムとか
インターネットを通じた便利な消費社会
それに関わるマスコミや政治
そしてそれらの環境で
衝動的に消費する消費者(ごく普通の人々の行動です)
という
難しい環境にハマっている
現代アメリカの困難を描いた作品です。

なぜアメリカが今のような
強烈な格差社会になっているのか
なぜそれが変えられないのか
というのがよく分かりました。

マスコミの報道やネット上の情報では
どうも原因がよく分からなかったので
どうしても知りたかったのです。

この複雑怪奇な状況
ちょっとした感想文などで
簡単には表現できませんのであしからず。

読んでいて、1、2年くらい前の著作なのかな?
と思っていたのですが
実は7年前。

現在のアメリカは、出版当時同様
今だ難しい状況にあるということですが
何とか脱してほしいものです。

実は日本も着実に同じ轍を歩んでいるというのも
嫌というほど感じます。

で、そのまま行くとどうなるのか
というのは
この本に明確に書かれています。

簡単に言うと
格差は開いて
「経済は回るけど社会は回らない」
という状態です。

「経済は回る」
というのは、みんながお金持ってる
ということではなくて

国内の産業は衰退して仕事は無くなって
みんな貧しくなって中間所得層はいなくなって
国民は精神的に分断されてコミュニティは消滅して
でも
デカイ企業は超儲かる!
みたいな感じです。

国民性の違いなどはあれど
同じようなシステムで
似たようなことをやって
似たようなことが起きているので
似たようなことになる可能性は高いと思います。

自分自身の行動を振り返っても
「ああ、このままじゃダメだなぁ」
と思います。

そんな状況を考えると
我が政府が
「新しい資本主義を…」
と言い出したのも理解できます。

本書には、解決策が提示されているのですが
そこを読んで思ったのが
「昔の日本人の価値観なら
こんな問題は起きないな」
ということです。

「昔の…」
ということは
「今の」価値観のまま行くとダメだ
ということなのですが…
まぁ、ダメでしょう。
でも、何とかしないと。

昨日の記事に教育勅語を引用したのは
実は、著者が示した解決策を見ていて
「教育勅語の内容みたいだな」
と思ったのもあるのです。

たぶん、その辺に脱出口がある。
ヒントは得たのでOK!
読んで良かった。

今回の記事
「何が問題なのかハッキリ言えよ」
ってな感じでしょうけど
それが簡単に言えたら苦労しないのです。
興味のある方は、ぜひご一読を。

ところで
古き良き日本の道徳観念というのは
実は凄く良くできていて
根底の大事な部分をしっかり抑えられているんだなぁ
なんて、この年になって感心したりしています。

ま、それだけ不勉強であった
ということなんですけどね。


個は大事 けど全体も大事

「個」を大事にしすぎると
全体としてはバラバラになって
組織としての力は発揮できず
弱体化していくわけで

「全体」ばかり考えていると
個を大事にできなくなったりするわけで
妥協とか我慢とかが必要になります。

そういうのって難しいんだなぁ
なんて思う今日この頃。

「個」と「全体」は相互に繋がっているので
結局のところ極端なのはダメなわけで
良い具合のさじ加減が大事なんですね。

だからこそ中道が大事だよ
ってことなのでしょう。

何か極端なところに答えがあるわけでは無いし
完璧なバランスポイントなんて無くて
パーフェクトワールドなんてのも無いわけで
だからこそ面白い。

人間の歴史も
そういう間をフラフラして
その時その時の「いい塩梅」を探してきたのでしょう。
それは今も変わらない。

結構、同じようなことを繰り返してたりしていて
フラフラ、グルグルしてるんですね。

とか何とか考えてると…

なぜか教育勅語を急に思い出したりして。

ああいうのを毛嫌いする人がいるかもしれないけど
よく読んでみて欲しい。

教育勅語 -明治神宮webサイトより

これ、凄いなぁ
と思いますよ。

これなら、どこの誰に適用しても問題無いし
みんなハッピーになっちゃうじゃないか
と。

今、我が国は
国是として掲げているものはあるんでしたっけ?
そんなことも知らないのは恥ずかしいけど
もし無かったとしら、ちょっと恐ろしい気もする。

社是もない会社だったら
俺たち一体どこに向かってんだ?
ってなもんですから。

売り上げ上げればいいんじゃん?
好きにやってればいいんじゃん?
では、いずれ破綻するのは明白。

天皇陛下の新年のお言葉が
国是みたいなものになるのかな。
だったらちょっと安心ですが。