払った分は必ず帰ってくる

コスパとかタイパとか言いますが…
多くの場合、端的に言うと「払いたくない」「だけど欲しい」ってことでしょうか?

払うから相応の価値が欲しい
というなら健全というか常識的というか…

でも、若年層ならほぼ間違いなく
「払いたくない」「だけど欲しい」
でしょう。

何を?って、お金とか労力とか、リスク全般でしょうけど。

コスパが良いとかタイパが良いとかってのは
払いたくないけど、最大限に得たい
そういうことです。

コスパやタイパなんて言葉が登場したのは最近ですが、若い頃なんて誰しもそんなものです。
経済的な理由はもちろん、経験が無いと勇気も無かったりするし。

そう、払うのはお金だけじゃなくて、勇気や労力、リスクも含んで。

で、年長者として言っておきたいのは
やりたいこととか信じたものはやっておけ
ってことです。
もちろん結果はどうあれ、です。

結果に関しては最も気になるとことだと思います。
だって欲しいゴールのためにやるのですからね。当然でしょう。

けど、無駄な経験は無いのです。

というか、何度も言っているとおり,、無駄にするかどうかは自分次第です。
望まない結果が出たとしても、そのプロセスで得た経験は再利用できますから。

なので、お金も勇気も出し惜しみするのが最も残念な結末に繋がる可能性がある。
それは…

経験が無くて分からないこと
です。

ダメな結果が出る
というのは
これをやるとこうなる
という経験を得ているわけです。そうなることが分かった。
これはとても重要なこと。

そして
分からない
というのは恐怖につながりやすい。
するとますますやることが硬直化してしまって、現状から変化できなくなる。

変化できないというのは、成長できないということです。

托鉢の話も同様なのですが、お金も勇気も蝋両区も、払った分はいずれ必ず何かしらの形で帰ってきます。
勇気要りますけどね。

これ、年取ってから気付いても遅いだろうな、と思うことの一つです。

やらせるからダメなのだが

かつて我が国には「一億総中流」と呼ばれる時代がありました。

これ、貧富の差が少なく、多くが特別豊かではないが、貧困でもない、という状態だったのです。
それが長いこと当たり前だったわけですが、世界的に見たらとても珍しい状態だったのですね。

そういう状態を支えていたのは、大きく二つの原因があると思っています。

一つは、高度経済成長のベースとなっていた、大量生産体制。
向上で安価で高品質な製品を大量に生産していた。

そしてもう一つは、そのための一定の知識やスキルを持った人材が大量に必要になるわけで、そういったニーズを満たすための教育システムの確立。

そんな状態が長いこと続いてきたのだけど、このやり方は人件費が安くて人口が多いのであれば成立するけど、それらのいずれか一方が維持できなければ継続は難しくなる。

で、人件費が上昇し、人口が減少した現在に至る。

もちろん低コストで大量生産のビジネスモデルはとうに成立しなくなっているのだけど、教育システムの基本形は変化せず。

言われた頃をやるという機械的な能力の重視と、考えることよりも記憶力をベースとした教育という形は変わっていません。

このシステムのトレードオフとして、尖ったヤツが少なくなるということなのですが、だからこそ貧富の差がない、均質的な社会が実現する。

興味深いのは、一億総中流であった頃よりも、むしろ今の方が人は均質化しているような気もすること。
まぁ、教育システムが同じ形で続いているならそうなるのは当然か。

問題は、この先どうしていくべきなのか。
社会の形は変わろうとしている。(すでに変わっている)
教育は未来の社会のためにあるのに、旧来の形のまま。
その形を保てば、かつての一億総中流に戻れるわけでもない。
なので、このままで良いはずは無い。

とはいえ、均質化から脱却して、個性や自発性を重視した自律的な教育に変えていくとどうなるか?

やはり二極化するのかな。
するのかもなぁ。
でも、それ以外の方法があるのだろうか?

その辺を考えるのは恐ろしくも難しくもあるのだけど、きっと避けては通れない道。
何か良い方法があるはずだ。

とか考えていると、やはり新しい時代がやってくるのは必然なのだろうな、と思うのです。
どうせなら、面白くしていかねばなりませんね。

ホンダ主催の講習会見学

今日はホンダ主催の、Formula SAE参加校向け講習会にお邪魔していました。
学生達とともに朝6時に大学を出て、帰ってきたのは夜の9時。
場所はモビリティリゾートもてぎ。旧ツインリンクもてぎです。

講習会は、サスペンションアライメント講座と銘打っていますが、実質的にはレーシングマシンのサスペンションを開発を前提とした、実践的な内容の講義と実技。
講師陣は、元F1マシンの開発者を含め、エキスパート揃いの豪華な布陣。
現在は皆さん現役の開発現場には籍を置いていませんが、リタイヤした後、またはそれなりの地位に就きながら、今回のように次世代の開発者となる若者達に指導されています。

で、今回は、以前お世話になった知人が講師をするということで見学に行ったのでした。
想像以上にレベルの高い、とてもためになる講習会でした。

この講習会に教材として使われていたのが、私がかつて開発に関わらせて頂いた小型レーシングカーのSide by Side。いやぁ、懐かしい。
20数年前にモーターショーでデビューした後、14台ほど生産されましたが、現在はわずか2台を残すのみだそうです。
それらが次世代の開発者を目指す若者の役に立っているのは嬉しい限り。

一通り講習会を見学して思ったのは、教育はこうあるべきだよなぁ、ということ。

大好きなレーシングカーについて、エキスパート陣から少人数に対する指導。
単に言われたことを聞いて覚えるのではなく、自発的に手を動かして頭を使ってコミュニ-ションを取って、本当に欲しいものを取りにいく感覚。

こうやって手に入れたものは、書籍やオンラインでの学びでは得られないものばかり。
ましてゴージャスな顔触れの、本当にトップクラスで活躍していた元開発者と直接対話して貴重な情報を手に入れる。
普通こんな機会はありません。学生達が羨ましい。
こうやって手に入れた知識やスキルは、一生忘れないでしょうね。

この講習、一人の教員から、数十人に対して一方的に講義して、言われたことを覚える・やる、といった、いわゆる学校の授業とは対極だなぁ、と思ったのでした。