良い子の話 じゃぁどうすんの?

端的に言ってしまうと、必要なのは失敗です。

…と言うとインパクトがありますが、正しくは、失敗とそれを乗り越える経験であり、その上流にあるチャレンジです。

で、それはチャレンジをしたいと望む気持ちが原動力なのですが、一般的にその気持ちは深層心理に組み込まれています。
つまり、習慣としてチャレンジしているようなものです。

そう、チャレンジャーは、チャレンジする内容については考えるのですが、チャレンジするか否かは、ほとんど習慣というか癖というか、あまり考えていません。

これはつまり、自分はどうするべきかというか、どうしたいかがすでに決まっていて、そのための行動であれば迷いが無いということです。

ただ、この場合の「決まっている」は、具体的な職種とかそういうことが明確化されているとは限らず、もっと曖昧なビジョンというか、「こんな風にやっていきたい」のようなことが習慣化されているというか、性(さが)とでも言うようなレベルです。

その迷いの無さから来るスピードが彼らの武器だったりします。
それによってチャンスを引き寄せて、すぐにトライして、結果をフィードバックして…
そんな風にして、みるみる経験知を増大させて自信を付けていきます。

対して、言われたことを最低限でやるといった習慣を身に付けてしまった者が、チャレンジャーとしてやっていくためには、知識や学力ではどうにもならないことが多いです。
だって、そういう問題じゃないから。

では、どうにもならないのか?

もちろん、どうにもならないこともあります。

この場合、どのくらい自身の変化を望むのか、ということなので、その「望み」のプライオリティがカギです。

言われたことをやりたい
に対して
思った通りにやりたい
が、どれだけ優先されているか。

あと、これは深層心理による習慣の問題でもあるので、やはり環境がカギですね。
人は環境に合わせて成長しますから。
その環境を選ぶ・そこで継続するのも決定的に重要でしょう。

というわけで、そういったチャレンジャーを生み出し続けるところに夢工房のあるべき姿があります。
もちろん完璧なやり方なんてのは無いので、試行錯誤は続くわけで、夢工房自体がチャレンジでもあるのです。

叩き台って知ってるかい?

「叩き台」
とりあえず形にした暫定のものとか、そういった意味です。

これ、社会に出て開発の現場で新鮮に感じた言葉の一つです。
まぁつまり、学校での生活では馴染みがなかったということでもあります。

そりゃそうですね。
叩き台は正解ではないので、そんなものを提示したら未完成不正解です。
学校で求められるのは正解ですから、そんなものは不要です。

ものづくりにおいて、こと良いものをつくろうとした場合、叩き台を出発点に、どうしたら良くなるだろうと想像(創造)して、チャレンジしながら改善していくというプロセスが必須です。
叩き台は、そのプロセスの一部です。

そもそも良いもの理想のものをつくるというのは、今は無いものをつくるってことでもあります。
だからそれは理想であって、やったことがないこと。
だったら、そんなものいきなりできないのは当然でしょう。

というわけで、叩き台をベースに良くしていく(改善する)のです。

学校の授業では、言われたことをやって正解を出すことが全てであり、クリエイティビティや、チャレンジングスピリットみたいな定量化できないものは評価できません。
けど、それらは価値を生み出す上では欠かせないものなのですけどね。

主観的な良いという感覚は数値化しにくいけれど、受け取る相手が良いと思ってくれることが価値であるというのは何と皮肉なことか。

というわけで多くの学生は、いきなり正解(完璧な完成形)を作ろうとしますが、実はこれが良いものが作れない原因でもあるでですよ。
これまた皮肉なことです。

簡単に言っちゃうと、良いものを作りたいなら磨く必要があるということなのです。

なので、磨くための時間を作るためにはスピードが重要ってことです。
何のスピードが必要かというと、磨く前段階までいかに早く到達するかってこと。

だって、いきなり完璧にしようとすると、そのために要する時間が長いわりに、どうせレベルの高いものにはなりません。初めてやることだったり、経験が浅いならなおさらです。

というわけで、叩き台を早く作る
これが良いものをつくるために必須条件の一つだということなのです。

イニシャルの話

イニシャル(Initial)
「頭文字」という意味もありますが、要は「最初の」というような意味です。

クルマやバイクのレース経験がある人には、イニシャルと言えば…「頭文字D」じゃなくて!
調整機構などの初期値としてお馴染みの用語です。

サスペンションのスプリングをセットした状態で、いわゆる自由長からどれくらい縮めてあるかとかいう場合は「スプリングイニシャル」とか「スプリングプリロード」と言ったりしますね。

ドライバー「フロントのスプリングイニシャルは?」
(フロントサスペンションのスプリングイニシャル値はいくつですか?)

メカニック「8mmっす!」
(自由長から8mmほど縮めてございます)

みたいにね。

簡単な例として…
サスペンションスプリングの場合、イニシャルをかけると、そこで反力が生まれます。
その状態で、サスペンションに入力があった場合、イニシャルによって生じた反力に達するまでは動きません。
逆にイニシャルをかけない場合は、小さな入力でも動きます。
なので、ちょっとした入力でも、クルマの姿勢がフワフワ動いちゃったりします。

その他にも色々あるのですが、技術の詳細を話すつもりは無いのでこの辺にしましょう。

で、ですよ。
このスプリングイニシャルみたいなのは、人の心にも似たようなことが言えるわけですよ。

経験の数が少なくて、心があまりにセンシティブになっていると、自分が本来やりたいことや、やるべきことに対峙する前に、細かいことで心がフラフラしちゃう。
で、実際に行動する前に躊躇して前に進めないとか、プライオリティの低いものに振り回されるとか、そんなことになりがちです。

まぁ誰だって若い頃ってそんなもんです。
でも、学校で立派な知識を頭に突っ込んだところで、心がフラフラしちゃったら、せっかくの知識は使いようがありません。

なので「心のイニシャル」をかけておくのが重要なのですが、じゃぁ一体どうすんの?というのが問題ですね。

イニシャルは荷重であり、プレッシャーで、負荷なわけですよ。
それがあらかじめかけられていることにより、本来反応すべきで無いノイズ的な小さな入力に影響されない心が必要ってことです。

最近の学校の多くは「閉じて守られたフィールド」ではないでしょうか。
教員は、学生や保護者から文句が来ないように、衝突が起きないように、頑張って細心の注意を払ってます。
学生は、余計なことが起きないように、最低限で最小限を求めます。
なのでそういった環境では、プレッシャーや負荷をいかに最低限にして無難に時を過ごすか、みたいなことになりがちです。

その環境にいるうちはそれで良いかもしれません。
では、卒業したらどうなるのでしょう?

あなたの望む仕事でも会社でも良いのですが、その環境ではどうしたいですか?
今のイニシャル値で望む成果を出せそうですか?

恐らく最近の会社組織では、その辺を考慮して新人教育をしているはずです。
でも、要は歳を取ってからの変化を求めるってことなので、そういったことは先送りにすればするほど難しくなります。
もちろんその分、仕事ができるようになって成果を出すことも先送りになります。
あらゆることが難しくなるってことです。

では、どうしましょう?

答えはシンプル。
好きなことを、できれば実戦のフィールドで頑張ってみたら良いのです。
しかもできるだけ早い時期に。
それだけです。