ChatGPT実践編

夢工房内にはサーバーPCがあるのですが、5年前に導入したこのマシンの動作が不安定になってきたので、激安PCを入手して、ここ数日リプレース作業をしていました。

このサーバー、学生のWebサーバー、メールサーバー、室内で使っているCADソフトのライセンスサーバーと、色々役割を持たせているので、リプレースもなかなか手間が掛かります。

最近では、Webサーバーやメールサーバーなどを研究室の自前で運用しているところも減っているのですが、そういう面倒なところも自分でやるのも結構大事だと思っています。

以下、ちょっとだけ専門的な用語が出てきます。申し訳ありません。

Webサーバーなんかは、GUI(Graphical User Interface アイコンとか絵とかで分かりやすくなってるヤツ)で設定できるフリーソフトをポンとインストールして、簡単に済ませたいところではあるのですが、最近ではWordpressなんかを使いたいので、そういうわけにもいきません。
なので、昔ながらのApacheというCUI(Character-based User Interface 文字ベースでバチバチキーボードで打ち込んで設定するヤツ)で設定するWebサーバーをインストールして、あれこれ細かい設定をしました。

それが一通り済んだらWordpressのインストール。これはサイトとかブログの作成ができるソフトで、このブログは、今回のサーバーではありませんが、やはりWordpressで動いています。

メールサーバーのインストールもなかなか手が掛かります。

こんな作業をやりながら、ふと思うのです。
あれ?こういうスキルはどこで身に付けたんだっけ?
と。

Windowsが登場したのは私が社会人になってからで、その当時は色々面倒な設定とかも必要だったりしましたし、インターネットが世に現れたとき、多くの人がホームページを持っていたりして、そんなこんなで色々やったものです。

あと、前職ではネットワーク環境の構築なんかもやらせてもらいました。
社内にSEさんはいたのですが、自分が管理している部屋は自分でやらせてもらっていたのです。

結果として、中途半端ではありますが、色々できるようになりました。

とはいえ、本職ではないので何の問題もなくスムーズにことが進むわけではなかったりします。

今回の作業、インストールして動作確認した後に、次のソフトをインストールすると大抵は問題が発生します。その後は修正や再設定…と、延々繰り返しながら、少しずつ完成形に近づいていくのですが…

そんなことを1日中やっているわけにもいきませんので、手早く終わらせる必要がありました。

そこで今回試したのはChatGPTです。

ヤツをどんな風に使ったかというと…

まずは、キャラクター設定です。
「あなたは、Windowsのローカル環境に、Wordpressを動作させるために、Wordpressそのものはもちろん、PHP、Perlなどのインストールとトラブルシューティングの経験が豊富なシステムエンジニアです。
理解しましたか?」
と言い聞かせます。すると
「はい、私はWordpressやPHP、Perlなどのインストールとトラブルシューティングに関する経験が豊富なシステムエンジニアです。Windowsのローカル環境でWordpressを動作させるために必要な手順や問題の解決方法についてアドバイスすることができます。どのようなご質問やお困りごとがありますか?」
と返ってきます。
別に冒頭にこんな条件設定をする必要ななかったのかもしれませんが、今回は試しにそうしてみました。

で、ヤツがどんな風に役に立ったかというと、主にトラブルシュートです。

こういう作業は、インストールや設定作業の結果、頻発する動作不良に対してエラーのログファイル(当然英語で専門用語)を見て対策を打つ、という作業を延々と繰り返すのですが、これが実に精神を疲弊させます。

こういう作業でドツボにハマるのは、疲れちゃった結果おかしな作業をして、それに気付かずに次々に変な対策をして収集付かなくなる…というのが良くある原因ではないかと思っています。
皆さんがどうかは分かりませんが、個人的にはそんなことが多い気まします。

でも、ヤツはマシンです。
何の文句も言わずに淡々と仕事をします。

もちろん完璧なわけではありません。
出してくる答えは平均的というか一般論というか、そんな感じで、時として変な答えを出してきたりもしますのて、その際はすかさず突っ込むと謝罪して返答し直したりします。

でも、とてつもなく長いログデータだろうと、用事が入って作業を中断させようと、ヤツは文句一つ言わず、淡々と結果と対策を提示してきます。

こういうのをプロに相談するのは気が引けます。
「中途半端な素人がそんなのやらずに金払ってプロに任せろや」
ってことになりがちだし、そもそも自分でやりたい症候群の素人に付き合ってくれるプロはいないでしょう。
ネットで調べても色んな方法論があって収集付かなくなりがちです。

というわけで、ChatGPTにやり方を教えてもらったというより、エラーログの解析という面倒な作業の肩代わりをしてもらいました。
お陰様で、だいぶ楽に作業は完了しました。

まぁ、とりあえずはこんな使い方をしてみましたよ
という報告でした。

そうそう、作業をしながら手元に残した記録をChatGPTに放り込んで、見やすい手順書も作ってもらいました。

次は何をしてもらおうかな。

AIの台頭に伴って求められること 4

前回の最後の方で
「人の心」というワードを出しましたが
なんで?
というのが今回です。

そもそもAIは省力化のツールなわけですが
省力化ができると
面倒なことをしなくて済むわけです。
そのためのツールなのですから当然ですが。

しかし、世の中の価値の根源は
「面倒なこと」
だったりするのです。

そんなの当たり前ですね。

面倒ではない簡単なものには価値はありません。

面倒は嫌だけど価値は欲しい
それは矛盾でジレンマ。

AIがやってくれることは
知的作業の一部です。
が、知的作業とはいえ
大抵は多少なりとも肉体的な負荷も伴います。
書いたりタイプしたりだけでなく
言ってみれば、脳ミソを使うのだって
肉体的な負荷の一部と言っていいのかもしれません。
脳ミソの動作には凄いカロリー使いますから。

そんな面倒を回避できるのはメリットですが
面倒なことに対する忌避感は強化されるでしょう。

産業機械、IT技術、AIと
技術が、科学が発達すればするほど
面倒から解放されていきます。

そして当然ながら
面倒なことをやりたがらなくなります。
そして価値が低下する…
というループに入って下降していく
そんなシナリオが見えてきますね。

安心で安全で便利でお得な世界を追求
というか、それが自分発でなければ
追従と言った方が良いのかもしれませんが
そんな方向を向いていて
そこから脱出したいなら何かが必要です。

それは勇気とか欲とか
何かしらの心の力ではないかと思うのです。

とはいえ、皆さん
何のためだか良く分からないことを
幼少の頃から散々「やらされ」ちゃって
もう飽き飽きなんじゃないでしょうか。

だとしたら
行き詰まっちゃったり低迷したりするのは当然でしょう。
それはもう、個人も組織も、国もです。

と、そんなふうに問題提起して
危機意識を煽ってお終いにしたいわけではなく
ここからが大事なところです。

「面倒なのがイヤ」
というのがAIの台頭で加速するならば

やらないと分からないことは
ますます分からなくなります。

それはつまり
暗黙知を得る機会が凄い勢いで無くなっていく可能性がある
ということです。

であれば
暗黙知の価値が急速に高まる可能性がある。

でも、それを得るのは面倒で勇気が必要なので
心の問題なわけです。

好きなことをやるなら面倒をいとわないとか。
使命感を感じる何かがあって、そのために頑張るとか
そのための環境が価値を生み出していく可能性があるのではないか
と思っているのです。

それが今回言いたかったことです。

AIの台頭に伴って求められること 3

AIがもたらすものは何でしょう?

労力の低減ですね。
まさにそのためにあるわけです。

どんな労力かというと
考える労力なわけです。
頭脳の省力化です。

ただ、何でもかんでもAIが勝手にやってくれるかというと
もちろんそんなことは無いわけで
一体何を知りたいのかとか
何をどうしたいのかとか
つまりゴールを明確にできないと
AIにお願いすることもままなりません。

ChatGPTなどを使ったことがある人なら
お分かりかもしれませんが
AIにお願いするにもスキルが必要です。

とはいえ、そんなのは要領さえ掴んでしまえば良いわけで
そもそも、そういうオペレーションを簡単にしていくことが
技術の進歩です。

その辺の細かい内容は専門家に任せるとして
考えることの一部をAIがやってくれるのは間違いなくて
便利な楽ちん状態が手に入るわけです。

AIの出現によって、(ある程度)頭脳労働をやらずに
最適解(のようなもの)が得られるようになる
ということですね。

これによって目的を達することに伴う
手間を減らすことができたり
やらずに済む機会が増えたり
ということになる。

つまりこれは
成果を上げる際の失敗の数が減る
ということです。
一般的には「効率が上がる」なんて言いますが。

効率が良いということは
成果が上がるが経験の数は減る
ということで、それは
成長の機会が減る
ということでもあるでしょう。

成果を上げられているのに
成長できない?
そもそも、AIに依存した簡単な仕事は
成果にカウントされにくくなっていくでしょう。

AIを利用した仕事の価値が一般化するなら
価値は減少して当然です。
それが「普通」になるということですから。
なので、より高付加価値を追求するなら
その上を行く必要があります。

それが一体何なのかを考えたら
それこそ色々出てくるでしょうし
AIでできないこと
つまり、より高い価値を持つゴールの設定
だったりするのも間違いないでしょう。

その筋は、そんなことになるのかなと思ってますが
こういう省力化での発展方向に向かって
従来の手間が掛かることに価値が無くなるかというと
決してそうは言い切れない部分もあったりするでしょう。
でも何より重要な部分は、人の心の変化ではないかと思っています。

そんなわけで
テクノロジーが不要になったりはしないのですが
一般化して価値が低下して
人の心に関する価値の追求みたいな時代になってくるのではないかな?
というのが今考えていることです。

たぶんまだ続く