知恵を絞るということ

端的に言ってしまうと
学生が学校で学ぶのは
プロになるためですよね。

学校で学ぶのは
論理的に考えること
知識を習得すること
この2つがメインだと思いますが
社会に出ると
もちろん論理的に考えるということは大事ですが
むしろ直感的にものごとを処理する能力が重要になると思います。

だって
いちいち学校で問題を解くように考えている暇はないし
考えて答えが出るようなものであれば
誰が考えても同じだから。
そういうものは価値がありません。

前職で設計やっていた時にお世話になっていた
試作の親方によく言われました。
1960年代ホンダF1の”作り”をやられていた方です。
今も、その時の言い回しも含めて頭にこびりついてます。

「小平さんよぉ、ただやってたってダメなんだぜ。
知恵を絞るんだよ。知恵をよ」

これ、言われていた時は
何となく分かってはいたんですけど
今ひとつピンときませんでした。

今、学生達の面倒を見るようなって
よく分かります。

単なる知識や理論だけで頑張って考えても
新しいものをつくっている時は
それに合った理屈なんて無いわけですよ。
だって新しいんだから。

なので
今まで見たもの、聞いたこと、やったこと
色んな経験をフル動員して工夫しろと。
で、熱意を持って頑張れ、と。

で、そのためには何が必要なのか。

こんなふうに考えて
こんなふうにやると
こうなる
というセットをどれだけ経験するか
あとはパッションだな!

結局、いわゆる形式知だけじゃ
どうにもならない世界に入っていくためには
暗黙知が必要になるのですが
そのための経験が重要なんですね。

本田宗一郎さんに直接鍛えられた人達に
色々教えてもらえたのは大きな財産です。
本当に幸運でした。

「ロクにやりもしないで講釈たれてると
ドライバーの柄とかで殴られんだよ。
頭をガツンとよ。
ホントに怖かったよ」

笑いながらそんな話をしてくれたのが懐かしいです。
もっと色々聞きたいこともあったのですが…。
多少なりとも私が受け継いだものは
何とか次世代に伝えていければと思っています。

むやみにガツンとはできませんけどね。

ツーリングの計画…したけれど

世はゴールデンウイークですか。
皆さん楽しんでますか?

残念ながら、今年は連休無しになっちゃいました。
平日運行で授業があります。
これは、そもそもオリンピック対応だったのですが
今やコロナ対応って感じなのかな。
何があるか分からないから、できるうちに授業進めちゃおう
みたいな感じになってる気がします。
それはそれで良いかもしれませんね。

例年なら連休に入ると
私がバイクでふらっと出かけちゃって
連休終盤に帰ってきて学生の成果を確認する
という感じのゴールデンウイークになります。
学生達にとっては
授業が休みの間にフルパワーで仕事を進める
良いチャンスになるんですけどね。
今年はそうもいきません。

実は、今年の夏はオーストラリア縦断を計画しています。
南のメルボルンから来たのダーウィンまでバイクで4,200km。
前回同様、マイレージで飛んで、ホテルの予約サイトで貯めたポイントで泊まるので
バイクのレンタル料、燃料代、食費くらいで行けちゃうんですが
まぁ、この状況じゃ難しいかな。

本当は、昨年末にオーストラリア横断として予約してたんだけど
この夏に縦断という形で予約内容を変更していたのです。
この調子だと、今年の年末に横断として再度予約変更の予感。

さてさて
普通のツーリングと違って
こんなふうに限られた時間内に結構な距離を移動するとき
どんなふうに計画しているのかを公開しましょう。
何せ飛行機の予約も絡んでくるので
テキトーに走りたい時に走りたいだけ走る
というわけにはいかんのですよ。
ちなみに、24時間で北海道最北端に行った時なんかも同じように計画してます。
たぶんこういうときって、皆似たようなことしてるんじゃないかと思うんですけどね。

まずはエクセルで出発点から目的地の間の主要な場所をリスト化して
Googleマップを使って距離を出していきます。

今回の例では、オーストラリアのメルボルンから北端のダーウィンに行く縦断ルートの情報を示します。
経由地のポイントは、給油と食事ができるとか、宿があるとか。
そういう場所って数百キロ離れていたりするので、ちゃんと計画しないと行き倒れます
というのは大げさかもしれないけど、日程内に帰れなくなっちゃう。

この情報を元に日程に落とし込んでいきます。
日程表では、その日の到着地をプルダウンで選べば
各日の走行距離と翌日の出発地が確定して
グラフにその日の走行距離が反映されるようにしてあります。
こんなふうにして経由地の選定をしていきます。
走行距離をグラフにすると行程内の負荷の推移が分かりやすいでしょう?
最初に頑張っておいて終盤に楽をするとか
少しずつ距離を伸ばしていくとか

何種類かプランニングして比較すると、どんなふうに走るのが現実的か見えてきます。
最終的には、初日の宿だけは予約しておいて
バイクで走り出したら、この計画をベースに
毎日走りながら、どうするかを考えることになるんですけどね。

計画するのは楽しいですけど
計画通りにキッチリ進めないと気が済まない性格でもないので。

本来なら日程など気にせずにのんびり行きたいところですが
限られた日程で縦断とか横断とかをするとなると
こんなふうに精密に(?)計画する必要が出てくるわけです。

結果として「旅行」なんて感じではなく
「チャレンジ」みたいになっちゃうわけです。
まぁ、これはこれで楽しいですよ。

あー、そのうち1ヶ月とかのんびり旅してみたいなぁ。

学生は好きで学校に行っているのではない

これ、ドラッカーが50年前に本に書いています。

白人の中産階級の子供たち、精神的には落ちこぼれていて、親や社会の強制によって、学校に行かされているにすぎない
と。

解決策として挙げているのは
生徒一人ひとりのためのカリキュラム
ですって。

一人ひとりの生徒のニーズと意欲を満たすカリキュラム、しかも、同じ成長過程を経る者などいないという確たる事実に即して、一人ひとりの生徒のリズムに合わせるカリキュラムを必要とする。
ピーター・ドラッカー 断絶の時代 より

この意見は、かなり先読みしてますよね。
恐らく50年前にこんなことを考えていた人はほとんどいなかったのではないでしょうか。
今もこんな意見を持っている人がいるかといえば、そんなにいないだろうな、と思います。

これが良いとか悪いとかというよりも、教育の形は基本的にあまり変化してないってことが興味深いです。
世の中こんなに変わっているのにね。

まぁ、今のやり方で、社会が良い方向に向かっていて、その調子でドンドン行ってやれ!っていうなら良いんですけど、どうもそうじゃないでしょう?

何で変わらないんだろう?
不思議だなぁ。

いや、でも、このコロナ禍の影響で少しずつ変わっていますよね。
これをきっかけに良い方向に向かうといいですね。
そもそも「良い方向」って何だ?というのもありますが。

あ!そういえば
「ゆとり教育」
ってありましたよね。

凄い批判浴びたヤツ。
あれが変化と言えば変化だったのかな。

国内ではさんざん言われましたけど、実は結構成功してて
国際的にも高評価だったらしいですね。
興味がある人はネットで検索してみてください。

「ゆとり教育」が成功だったのであれば
その世代が社会で活躍するようになってから
社会が大きく変わるのかもしれませんね。

でもまぁ、そんなの待ってられないので
夢工房は、できることを試していきます。

今のところ最重要項目として大事にしているのは
今思い付くところで

パッション

視野の広さ

利他の精神

勇気

スピード

ってとこかな。

何だよ、精神論かよ!?
って言いたいですか?

まぁ、そう言われたらそうかもしれませんね。
でも、これらが身に付けば、大抵のことは何とかなりますよ。
知識や経験も自分からドンドン獲得して行くようになりますし。
そうやって身に付けたものは、決して忘れません。
それに、勉強苦手な学生でも、何かしら自分が役に立てるよう頑張ることができます。

逆に、いくら知識が豊富でも
これらが無いと、大して役に立たないのではないかな。
個人的な知識欲がいくら満たされたところで
それらが他に対する価値に変換されなければ
残念なことになるでしょう。

夢工房では、学生が自発的に学んでいます。
面倒を見ている私は、聞かれれば色々教えないでもないですが
主に、ここに挙げたことを彼等が得られるようにサポートしてるわけです。
新たに気付きがあれば、ドンドン変えていきますが。

頭に無理矢理知識を詰め込んだところで
無理矢理なことを利用するなんて、そもそも面白くないですよ。
成果だって最低限になっちゃうんじゃないかな。
そんなの教える方だって、教わる方だって面白くない。
面白くないのに、自主性とか主体性を持つなんて無理です。

でも、彼等が
「もっとだ!もっとだ!!」
って、やる姿勢を身に付けられるなら
自身も周囲も面白くなりますよ。

最後に、同じくドラッカーの断絶の時代から

成長の過程では、成果を上げることに伴う達成感を経験することほど、重要なことはない。しかるに、学校ではこの達成感を与えない。今日の科目では、自ら何らかの成果を上げることができない。将来の可能性を示すことしかできない。文法において生徒のなしうることは、誰かがすでにしていることを繰り返すことだけである。

だよね。
エンジニアリングを学んでいるなら、エンジニアリング的な成果を出すのが一番の喜びです。
それを早いうちからできたら最高だってことですよ。

さぁ、今年の1年生は、どんな成長を見せてくれるのかな。