発展に伴うもの その3 AI革命

そして2020年代
似たことが知的労働で起き始めました。

現在進行形なのは
AI革命
とでも言うべきでしょうか。

コンピューターの登場は
それなりにインパクトがあったのですが
これは今となっては
現在のAIに繋がる序章のようなものでしょう。

機械を使って「知的作業をする」から
「知的作業を機械にさせる」へのシフト
これが今起きていることです。

生成AI以前は

人間がPC・ソフトウェアを操作して成果物を生み出す

という構造でした。

Wordで文章を書く。
Photoshopで画像を作る。
IDEでプログラムを書く。
Excelでデータを分析する。

ところが生成AIでは、

人間がAIに目的・条件を与え、AIが成果物を生成する

という構造が成立し始めました。

これは産業革命との類似性がかなりあります。

産業革命では
「作る」が人から作業機械へ移行しました。
これにより
身体能力と技能が機械によって肩代わりされました。

自動車革命では
「移動・輸送」が馬から自動車へ移行しました。
これにより
移動能力が機械化によって肩代わりされました。

では、AI革命では?

「考える・書く・分析する」が人から機械に移行します。
これにより
知的作業の機械化・拡張が機械に肩代わりされます。

産業革命と自動車革命で起きたのは

1.最初は性能を疑われる
2.既存の仕事を奪うと恐れられる
3.既存職業との摩擦が起きる
4.技術を使う人が生産性を上げる
5.周辺産業・新しい仕事が生まれる
6.社会制度や教育が後から追いつく

と、こんなところです。

で、AIについては
1が落ち着きつつあって
現在は2でしょうか。
もしくは3か4?
もしくは5ですかね。

いずれにせよAI革命が
産業革命や自動車革命と大きく異なる破壊力の源は
コストではないかと思っています。

というのも
成果物を低コスト化するための
産業機械も自動車も
それ自体は高いコストを要します。

しかし、AIによってもたらされるのは情報で
誰もが低コストで容易に高いレベルの「知」を得られる。
情報伝達も高速で低コストです。
そしてその量は莫大です。

となると
変化の伝播速度が過去とは桁違いになる可能性があります。

とはいうものの
誰もが同一、同様ではなく
そこには階層が生まれるでしょう。

  • 自分で文章を書く人
  • AIに文章を書かせる人
  • AIを使って一連の仕事を自動化する人
  • AIを組み込んだ新しい事業・組織・システムを作る人

というように。

産業革命からの三つのビッグイベントは
「機械が人間の仕事を奪った歴史」
として見ることもできます。

しかし別の見方をすると

産業革命:人間が自分の筋力と技能を外部化した
自動車革命:人間が自分の移動能力を外部化した
AI革命:人間が自分の認知能力の一部を外部化し始めた

とも言えます。

この「外部化」が起きて
人は何もしなくなったわけではありません。

「自分でやらなければならないこと」
を次々と機械に渡し
そしてそのたびに
「人間がすること」
を一段上へ移動してきたわけです。

同時に、機械に置き換えられた仕事のコストは低下します。
そのための機械化ですから。

産業革命や自動車革命とAI革命を比較するなら
「雇用が無くなるかどうか」ではなく
この「価値のある能力の移動」を見るのが本質的だと思います。

とはいえ
道筋は(戦略は)一つではないことを忘れてはいけません。

手工業で作られた製品には
機械ではできない価値があります。

馬での移動も
犬ぞりでの移動も
価値があるからこそ残っています。

考え無しに
「皆がやるから自分もやる」
とトレンドに乗るのではなく

戦略的に考えて
何のために何をどうするかを決める
ってのが大事なのですよ
というのが今回言いたかったことだったりします。