押してダメなら

日本の若者の意識調査を見ると
どうもイケてませんね。
皆さんご存じの通りです。

自信が持てない
満足度が低い
などなど
総じて幸福度が低い。

まぁ、日本人自体の幸福度が低いのですから
これは当然の結果かも知れません。

この結果を見て
「今の若者はだらしないなぁ」
なんて思うとしたら
「なんて無責任なんだ」
と思っちゃいますよ。わたしゃ。

「そうしたの、あんただろ」
と。
ま、私自身でもあるんですけどね。
(昨日の続き)

さて、今回何が言いたいかというと

戦略がダメなら
戦術をいくら変えてもダメで
どっちも変えないなら
ハードにプッシュしてもダメ
ってことなんです。

「今の今の若者はだらしないなぁ」
で頑張れたら苦労しませんよ。

頑張る気が起きないシステムだから
頑張れないだけの話で
その状態で何とかできたら
そんなのもうやってるわ!
ということです。

ま、中にはしっかり頑張っている者もいますよね。
なので、今回はマジョリティはどうなの?
ということですね。

また偉そうなネタで恐縮です。

いえ、これね
レースとかやってれば誰でも知ってますよ。
意識こそしていないかもしれないけど。

何のために戦うかとか
どうやって戦うかという
スジがダメなら

何を使って戦うかとか
どのくらい頑張るか
という部分を変えたってダメですよ。

レースを見ていると
部分的なスキルとか
マシンの性能とか
そういうのが目立つから

うまいヤツは速いとか
マシンが速ければ勝つとか
そういう話になりがちですが

そもそも
なんでうまいヤツはうまいんだ?
とか
本当にマシンさえ速ければ勝てるのか?
とかは考えませんよね。

「自分にとってレースは何か?」
この辺が全てを決めます。
すでに決まっちゃいます。

これが小さくて低ければ
そもそも
大してうまくもなれないし
速いマシンを手に入れても早く走れません。

単独でいくら速くても
前走者を抜けるかどうかは別問題だったり

良いチームを作れなければ
そもそも満足に走ることすらできなかったり

そんなもんです。

そんな状態で
もっとハードにプッシュすればイケるはず!
とか
もっと色々テクを身に付ければイケるはず!
なんてことは無いですよ。

学校なんかはとても分かりやすいのですが
何のために
どうやって学ぶの?
というあたりが曖昧なまま
学ぶ科目数を増やすとか
むやみにハードにプッシュするとか
そんなことしても
大して結果は変わらんのですよね。

頑張っているうちに
何か気付くとか、何か見える
といったことはあるかもしれないので
一概に無駄とは言えませんが。

「押してもダメな引いてみな」
と昔から言いますが
これ、結構深くて

ダメなら戦略変えろ
ってことですよね。

チームで成功するには

どうしたらいいのでしょう?

学生にとっては難しい課題です。

なぜかというと
そんなの学校で習わないから。

逆に
「自分でやりなさい!」
ってのは良く聞くでしょうけどね。

なので、何か課題にぶち当たると
一人で考え続けちゃう。
で、貴重な時間を失っていく。

もちろん、自力で何とかしなければならない
と思うのは立派です。

ですが、期限までにゴールに到達する必要があるのであれば
チーム力をいかに有効に使うかがカギになります。

レースは勝てば良いのです。

夢工房でのものづくりは
考える やる
の連続です。

PDCAサイクル
なんて言いますが
単純化してしまえば
考える やる
です。

これをいかに早く回していくかが勝負。

考えても調べても分からなければ
聞けば良いのです。

一人でやってみて、できなければ
できない!と言えば良いのです。

何も一人で全てをできる必要はないし
一人が天才的な才能を発揮できなくても良い

チームとして成功すれば良いのです。

勝てるマシンが
必要なときに必要な場所にあって
勝てるチームになっていれば良い。

と、こんなことを言うのは簡単ですが
それがなかなかできなかったりもするのです。

それは
ゴール到達のための
熱意が足りないのかもしれない

「このままじゃヤバいぞ」
という嗅覚が磨かれていないのかもしれない

必要な行動が取れない環境なのかもしれない

いずれにしても
そんなことも含めながら
凄い勢いでグルグル回していくことが
成功の鍵かと思います。

修行僧の帰還

先週末、オートポリスで行われたスーパー耐久(通称S耐)に
当チームのメンバーが見習いレースエンジニアとして
参加させて頂きました。

プロのレースエンジニアをやってる卒業生がいるので
その彼の指導のもとでお手伝いというか
修行させて頂いたのです。
役得!

お世話になったチームはクラス優勝したようで
良かった良かった!

なのですが
一番良かったのは
行った学生が
勝つチームの空気感を掴んでくれたことです。

学生達は
日頃勝ちたいと思って頑張ってますが
何せ初めてやることだし
どこまでやれば
どんな風にやれば勝てるのかは分かりません。

で、どうなるかというと
「これなら勝てるだろ」
という予測をしてやるべき事を決定します。

が!
これが大抵甘いのですよ。

しょうがないです。
経験が無いのだから。

で、私の仕事はその辺を評価して
アドバイスをすることなんですが…
問題は
先生の言うことを聞いてくれない
ってことです。

いや、別に反抗的なのではないんです。
むしろウチのメンバーは凄く素直な連中です。

でも、学生ってね
基本的に先生からのダメ出しに慣れてるんですよ。
でしょ?

なもんで
「それじゃ勝てないぞ」
と言っても、あまり効かないんですよね。

もちろんこれは
私の実力不足ってのはあります。

でも、何というか
「先生が言ってるレベルが理想なので
最大限でそのレベルに行けば良いんじゃね?」
みたいなところがあるんだと思います。
「先生がOK出せば良いんじゃね?」
みたいな。

「それじゃ勝てないぞ」
ってのは
本当は最低限のレベルの話をしてるので
そのダメ出しレベルを満たしても
最低限なんですよね。

「先生がOK出せば良いんじゃね?」
じゃないんです。
勝てないとOKじゃない。

じゃぁ、最大限のアドバイスをしたら良いだろう
と?
「こうしたら勝てるぞ」
と。

そりゃ私は実務経験があるんだから
ビギナーの学生よりも色々知ってたりはしますよ。

でも、それじゃ意味が無い。
先生の言ったことをやるだけになっちゃうから。

別に言われたことができる人間を育てているわけではないのです。
言われてもいないことができるようにならないと意味が無いのです。

それにね
言われたことをやる人間は
言われたことを満たせません。
分かります?

狙ったとことまでなんて
大抵到達できないんですよ。
「~で良いんじゃね?」
なんて考えているレベルならなおさらです。

なので
自分達で、どうしたら勝てるんだろう?
って、真剣に考えて努力するようになって欲しいのです。

これは決して無理な話ではありません。
学生の力を見くびってはいけない。
20歳そこそこの人間だって
本気になれば凄いことができるんです。

それにリミッターを掛けてるのが
「アレやれ!コレやれ!」
ですよ。

それやっちゃうと考えなくなりますから。
何とかその状態から逃げたいって思いはじめます。
できればやりたくないって。
しかも無意識で自動的に。
そうなったら何やっても無駄です。
外部から何かやればやるほど無駄になります。

もう一つ大事なことは
勝つための空気感です。

これ、チーム内で独自に作れれば思想的なのですが
何せ基準が見えないので
何をどれくらいやったら良いか分からない。

なので、今回のように
勝つプロのチームで
その空気感を掴むことは非常に大事なのですね。

先生に
「それじゃ勝てないぞ」
なんて突っ込まれているうちはダメで
本人達が
「こんなんじゃ勝てねぇ!」
って思うようになれば
やっとスタートってとこです。

今回は大変良い経験をさせてもらいました。
卒業生の存在はありがたいです。
彼らは私の宝物です。
在学中は大変だったと思うけど。