修行の本質

今まで、24時間以内に東西南北それぞれの「端っこ」に行く1Dayチャレンジなどをやっていました。
これが他人から見れば楽しいツーリングに見えるかどうかは分かりませんが、自身は楽しいツーリングと簡単に割り切れないと思っています。
実際それほど楽しくないし、感覚的には昨日も書いたとおり「修行」です。
もちろん、やり切れれば充実感はありますが、やっている最中はキツイですよ。
絶対に目的は達したいから、そのための計画や努力をするのですが、変に無茶しすぎると本当に危ないので、引き際も大事です。何かあったら他人にも迷惑が掛かりますし。

さて、今までの1Dayチャレンジは、目的地に到達するまで1300kmから1500kmくらい走って、翌日は数百キロ走ってフェリーに乗るパターンでした。

「端っこ」に到達するまでは、結構高いモチベーションを維持できるのですが、問題はその後です。

翌日は、かなり疲れているのですが何とかなります。
なぜなら、フェリーに乗るという目的があるから。
これをエサに頑張れるのです。パブロフの犬です。

問題は、フェリーを降りてからです。

家に帰るというのは、私にとってモチベーションの源泉とはなりにくいのです。
終わりを意味する「帰宅」では燃えてこない。
精神的な疲労感がピークに達するのは、帰路のうち、自宅へ向かう行程です。
だからこそ、チャレンジの仕上げとしては、最も大事なパートなのでしょうね。だからこそキツかったりもする。

つまり、昨日の「修行」は、その最もキツイ状態が、行程の半分の690kmもあったということです。

とはいえ、「1日で青森往復をするのだ!」というのが多少なりともモチベーションを維持する材料になっていたというのはありますね。

こういうことをやっていると、目的がモチベーションのレベルを決めるというのが良く分かります。

そもそも、何のための修行なのだ?
というのが最も大事なところなのですが、それは色々で、具体的なところはまだ内緒です。

その色々を別としても、一つ言えるのはチャレンジをやめたら終わりだな。とういうこと。

修行

今日は朝4時出発で青森に行ってきました。
青森市で海鮮丼食べて日帰りです。
もちろんバイクですよ。

帰宅したのは23時ちょっと前。
埼玉からの往復の走行距離は、ざっと1380kmでした。

いやぁ、キツかった。本当にキツかった。
想像通りでしたけど。

こういうの、ツーリングとは言いません。
修行です。

今回は東北自動車道を使ったのですが、路面のコンディションがかなり悪くなっているのが気になりました。
小さなギャップが結構あって、突き上げがキツイ。
クルマなら大したことはないかもしれないけど、バイクには結構堪える大きさです。
通過した瞬間、「ウッ!」ってきますから。

そういえば工事も沢山やってました。
どうやら、この夏には大掛かりな工事をやるようです。

家の近所の道路も橋梁の修復工事を参観にやっていて、最近はインフラの老朽化が進んでいることが実感できます。

ヘルメット虫だらけ

長距離ツーリングに向いたバイクはどんなの?

今でこそバイクであちこち行きますが
実はツーリングらしいツーリングをよくするようになったのは
この仕事に就いてから10年後
今から10年前くらいからなのです。

卒業生達が社会人としてバイクに乗るようになってきたので
彼らに付き合ってもらって出かけることが多くなったのです。

それまではバイクと言えばレースに出ることが中心でした。

前職の時も時にはツーリング行きましたけどね。
でも近場が中心で
たまに北海道に行くくらいでした。

さて
バイクでツーリングとは言っても
色々なスタイルがあります。

近場が中心の人
そこそこ遠くに行く人
宿に泊まる人
キャンプの人
目的は多様で
観光地、宿や食事、温泉など様々です。

前述のように
卒業生と行くツーリングは
なぜか結構な距離を走ることが多いですね。
たぶん、私の趣味に合わせてくれているんだと思います。
ありがたいことです。

行った先の宿などは、卒業生達がチョイスしてくれることが多いです。
これがなかなかイケてるんですよ。
食事の美味しい温泉宿とかね。

そんな時は1日あたり300~500km
トータルで1500~2000kmくらい走ることが多いです。

ところで
長距離を走るツーリングには
どんなバイクが向いていると思います?

こういうの?

WIKIPEDIA Easy Rider”

手前のは、映画「イージーライダー」で主役を演じたピーター・フォンダが乗ってたキャプテンアメリカ号ですね。
いわゆるチョッパーってヤツです。
ここまで極端じゃなくてもアメリカンというカテゴリーのこの種のバイクはよく見かけるでしょう。代表格はもちろんハーレーダビッドソンです。まぁアメリカ製のバイクはアメリカンなわけで、ハーレーこそがアメリカンなわけですが。
ちなみに
アメリカのカスタムパーツメーカーは日本製のアメリカン(?)の部品も作っていたりしますが、その場合はアメリカンとは言わずにクルーザーとか呼んでます。まぁアメリカンじゃないんで(笑)

一見して想像できるように、ハンドルが高くて、足を前に投げ出して、上体は直立から若干後傾する姿勢になります。
こういう極端に高いハンドルを「エイプ・ハンガー」って言います。
猿がぶら下がるって意味です。面白いですね。

では
こういうバイクで長距離のツーリングを複数日にわたって走り続けられるか?
この手を所有したことはないのですが
以前、ツーリング先で会社の先輩と交換してしばらく乗ったことがあります。
その時のフィーリングと、オーナーのコメントから
そんなに長距離を走れるわけではないんだな
と思っています。

まず空気抵抗が大きい。
体には結構風圧が掛かります。
あと、お尻に体重が集中するので痛くなります。
1日に200~300kmくらいの距離で数日間ならイケる気がしますが。

下のバイクは、BMWのR1200RTってヤツです。
2019年から2020年への年越しで
オーストラリアを走ったときに乗りました。
もちろんレンタルです。
7日間で3700km
一番長い距離を走った日は900km走りました。
これくらい走れば評価しても良いでしょう。

上の写真でも分かるように
このR1200RTはでっかいカウルが付いた
いわゆるツアラーというカテゴリーに分類されます。
長距離をドーンと行くようなバイクですね。
でも、R1200RTはコーナーは結構ヒラヒラ軽快に走れます。
車重は重いくせに。
水平対向2気筒エンジンを積んでいるバイクは総じて軽快で
意外なほどに運動性能は高いです。

見て分かるとおり防風性能は高いです。
ウインドシールドが電動で上下するとか
ラジオが付いているとか
機能は充実してます。

長距離には強いです。
ですが、1日あたり500kmを超える距離を毎日走るのであれば
私はこれを選びません。
オーストラリアでは選択の余地がなかったのでこれにしましたが。
理由は後述します。
※追記:タンクが大きいので満タンで500km走れるのは良かった!

お次はBMWのR1200GSです。
これは2011年に手に入れて、2018年まで乗っていました。

R1200GSはアドベンチャーツアラーというカテゴリーの火付け役になったバイクです。
世界的にヒットし始めたのはこの前の型からですね。
雰囲気的にはオフロードもいけそうでしょう?
頑張ればいけないこともないのですが、あまり適してはいません。デカくて重いし。
これも長距離が得意そうに見えませんか?
まぁ、ボチボチいけます。
1日600kmくらい走るとうんざりしてきますが。

最後に紹介するのは同じくBMWのR1200RS
今乗ってるバイクです。
前の2台に比べるとだいぶスポーティーじゃないでしょうか。
いわゆるスーパースポーツと呼ばれるバイクほどとんがってはいませんが
結構スポーティーですよ。

そしてこのR1200RS
意外なことに長距離が得意です。
ドイツの人は、こういうバイクでアウトバーンを1日に
1000km走るツーリングをしたりしてます。
本当は、R1200GSじゃなくて最初からこれが欲しかったんですよ。
でも、2011年にはラインナップから外れてました。
”RS”って、昔からあったシリーズなのに。

という感じで
BMWばかり紹介させてもらいました。
全部水平対向2気筒1200ccです。
実は私はBMWフリークではありません。
そんなにこのメーカーに思い入れはなかったりします。
すみません。

じゃぁ、何で乗ってるかというお話をしましょう。

昔々
初めて北海道にツーリングに行ったとき
フェリーから降りるときに
たまたま知り合いがいたんです。
バイク屋さんの人で、BMWの”GS”に乗ってました。
R1100GSっていうヤツです。
「1日どれくらい走るんですか?」
って聞いたら
「700kmくらいだな」
とおっしゃる。

これね
結構衝撃だったんですよ。
当時、自分が乗ってたバイクだと
1日300kmくらいが限界でしたから。
「倍以上行けるんか!」
と。

で、北海道に上陸すると
いっぱいいるんですよBMWが。
彼らに話を聞くと
だいたいが1日あたり500kmくらい走るって言うんですね。

もうね、マジかと。
そんなに走れるわけねぇだろと。
でもみんな言うんですよ。
1発500kmじゃなくて
毎日500kmですよ。

それからしばらく経って
バイク屋さん主催のツーリングに行きました。
片道300kmで1泊です。

バイク屋さんのツーリングって
大抵は狂ってる人が何人かいます。
すっごい速いのに乗ってる人もうじゃうじゃいたんですが
BMWに乗ってる人も何人かいました。
確かR1100RSというロードスポーツです。

当時の私は国産のスパースポーツに乗ってました。
どえらい速い逆輸入車です。

片道300kmをビューンと行くんですが
BMWが結構良いペースで走ります。
加速性能なんかはこっちの方がはるかに良い。
馬力なんか1.5倍以上ありましたからね。
ブレーキもはるかに効くし
はるかに曲がるんですよ。

でもBMWは速い。
離れてもすぐ追いついてくる。
現地に着いたら
こっちはグッタリしてるのに
ケロッとしてる。

これは何なんだと。

じゃぁしょうがねぇ。
試してみるしかないぞ。
という訳で乗ることにしました。
まぁ、実際に手に入れるまで10年以上経ってしまったわけなんですが(笑)

乗ってみてちょっとだけ分かった。
決していわゆるフワフワの極楽バイクではない。
もちろんガチガチのハイパフォーマンスでもない。
精神的に疲れる要素が非常に少ない
というか
色んなところに安心感がある。
たぶん、姿勢の変化特性とか、スロットルのツキとか
車体の振動とかサスペンションからのフィードバックとか
細かいところのチューニングを凄く良くやってる気がします。
カタログに数値として載らない部分に強みがありそうです。
このへんはぜひ評価のプロに聞いてみたいと思っています。

BMWの水平対向2気筒って
凄く扱いやすいんです。
パワーの立ち上がりも急激じゃないし。
コーナーではヒラヒラ寝る。
人の感覚から大幅に外れた感じがないと言ったら良いのか。

高速道路を走っていて
ブレーキ掛けるほどじゃないけど減速したいときなんかは
ちょっとスロットル戻せば済む。
再加速は、そこそこトルクがあるもんだからシフトダウンもあまりする必要ないし。
余計な動作は最低限で済む感じかな。

要は長距離を走るときに気疲れするポイントを潰しこんでる感じです。

勘違いして欲しくないのは
決してダルなフワフワでスムーズな極楽バイクではないことです。
まぁまぁスポーティーですよ。それなりに手応えあります。

確かにこれなら毎日500km行けます。
RSでは調子に乗って、1日1500kmも走ってみました。行けました。

そして
どうして
見るからにツアラーのRTじゃなくて
アドベンチャーツアラーのGSじゃなくて
見た感じスポーツのRSで長距離行けるのか
という話をしましょう。

これは誰にでも適用できる話ではないかもしれない
ということを最初にお断りしておきます。
自分が思っていることです。

RTもGSも
防風性能は良いです。RSよりも。
私が乗っていたGSは、オプションパーツを駆使して
防風性能をさらに向上させてました。

乗車姿勢は、いずれも上体が立っていて楽そうです。RSよりも。
RSはハンドルが低くて上体が前傾してます。
疲れそうです。

そういうわけで
一見、長距離にはRSが最も不利そうです。

ちなみに
長距離を走って限界を感じる原因は
色々あると思いますが
多くは上体の体重がお尻に掛かって
ケツが痛くなって耐えられなくなることがほとんどです。

上体が立っているバイクは
ケツ圧が上昇してケツが爆発します!
(卒業生が言った表現 当を得てます)

GSでは、これを何とかしたくて
社外品のお高いシートに交換しましたが
基本的には何ら変わりませんでした。

前傾してるバイクは
股間から太ももにかけて
ほどよく荷重が分散されているのではないかと思ってます。
ケツ圧が上昇しにくい気がします。

上体が立っていると
加減速の時に前後方向に体が振られやすい。
加速時には上体がそっくりかえる感じです。
前傾していると、その負荷が小さい。
そういうのは微少かもしれませんが
距離を走ると蓄積してきます。

対して前傾したRSは
上体の荷重が傾いた背骨からシートを通じて
後輪の接地面までグッとかかる感じです。
これはスポーツバイクでは当たり前です。
前傾することによってポジション的に上体の自由度は少なくなるのですが
その分メリットもありますね。

あと、上体が前傾しているということは
それだけ前輪の分布荷重が大きいということで
特に高速時の旋回性は高いです。

長距離を走る時って
多くは高速道路なので、この違いは大きい。

さぁ、どうです?
なんとなくご理解いただけたでしょうか。

良いことずくめのようですが
時にやっかいなこともあります。

水平対向2気筒エンジン
横幅が広いんですよ。
ハンドルの全幅よりちょっと狭いくらいかな。

たまに
「何でこんなに幅広いんだよ、このヤロー!」
と言いたくなることがあります。
たまにですが。