再始動!

ここ数日、学生達が夢工房に戻ってきています。
よかったよかった!

まずは卒業研究をやっている新4年生の登校がOKになりました。
ただし事前申請が必要ですけどね。

やはり人がいると違いますね。当たり前だけど。

彼らは早速ゴリゴリやってます。

設計、製作、メーカーさんとの調整、オンラインでの後輩の指導、などなど。

そうそう、就活もやってますよ。
オンラインで。

今まで在宅でオンラインだったので、工房に戻ってきても動けるようになるまで時間掛かるかな?と思っていたのですが、杞憂にすぎませんでした。
いきなりロケットスタートです。

部屋には入れる人数は制限されているので、4月になって授業開始になっても3年生以下の全メンバーが同時には作業できないものの、4年生が作業の段取りをしながら効率よく作業が進むようにシフトを組んでいるようです。

こりゃ4月以降が楽しくなりそうですよ。

足で設計する…?

私がかつて自動車の設計をしていたとき
仕事がとても楽しかった。

自動車開発の現場って、いわゆる「頭のいい人」「できる人」が山ほどいます。
皆さんとても魅力的な人たちで、そんな中で仕事ができることは、とてもエキサイティングでした。

もちろん、そういう環境でベストを尽くしたい。
こんな自分でも何かやりようがあるはずだって思って実行していたのが

「足で設計しよう!」

です。

足で?

別に足で図面描くわけじゃないですよ。

設計者って、PCの前に座って、ゴリゴリCADやってるイメージがあるでしょう?
実際その通りだったりもするんですけどね。

自動車の設計って、色々なパートに分かれてやるんですけど、とにかく他パートとの調整作業が多いし、それがとても重要なんです。

もちろん電話とかメールでもできたりするんですけど、一番話が早いのは、相手のところに行って、直接話しをすることです。

なので、何かあるとすぐに相手の部署に飛んでいって話しをすることにしていました。
もちろん、その方が仕事が早いってのもありますが、電話とか、メールとか、図面の情報だけとか、限定された情報を元にすると、表面的なものの裏に隠された意図とか本質的な部分が見えないのですよ。

それにね、仕事は「皆で力を合わせて良いもの作ろうぜ!」ってことなので、結局は人対人なんですよね。

車の設計って、凄く高い技術レベルで、計算ずくで最適なものになってるように見えるでしょう?

そんなこと無いです。
あ、技術レベルは高いですよ。凄く。
でも、理論だけでできてるわけではないですよ、ってことです。
もちろん、コンピューターが勝手にやってくれるものでもない。
多くの部品が、お互いに主張したり譲り合ったり、相対的なバランスを取って、最終的な形態を形作ってます。

なので、他のパートとのやりとりはとても重要なのです。
部品相手に仕事をしているように見えて、実はその部品の設計者と仕事をしているんです。
これ、意外と忘れがち。

私は色んなことをやらせてもらいましたが、当初は電装の設計を担当していました。
電気を使う部品全般の設計です。
中でも、いわゆるワイヤーハーネス、電線が一番ボリュームが大きい
これはとても大変な仕事でした。

電線って、車の隅々まで這い回ってます。
なので、車体を構成するほとんど全てのパートに関わるわけです。

でも、「電線なんてグニャグニャ曲がるんだから、どこでも自由に通せば良いじゃん!」という感じで見られていて、なかなか場所の確保が難しいのです。

電線が一本でも切れたら車は動かなくなるかもしれないし、それが原因で火災になる可能性もある。そうしたら人命に関わりますから「テキトーに通しとけばいい」という仕事ではないのです。

こういう
「え~、めんどくせぇな」
というような仕事は、やはり対面で話さないとなかなか進みません。
だって、めんどくさいから。
メールなんかで調整しようとすると、ついつい後回しになっちゃったりして。
だって、そういうのってメール書くのも返信するのも面倒ですもん。
まして電話なんかじゃらちがあかない。

なので、とにかく相手のところへ行ってしまうことにしました。
で、話しをする。
自動車の開発をしている施設って広いですからね。
他部署まで数百メートル離れているなんてのは普通で、たぶん1日に何キロも歩いていたと思います。

試作の現場にもよく足を運びました。
設計者って、あまり試作工場行きたがらないんじゃないかな。
怖い人いるし(笑)

彼らは体張って仕事してるんだから、おかしな設計したら、そりゃ怒りますよ。
でも、そんな時は速攻で現場に行ってしまう。
そういう真剣な対応をしないと現場は納得しませんよね。
で、何が問題なのかを聞いて、どうしたら良いかを話し合って速攻で解決。
現場と話しをすると仕事は早いです。

そんなことをしていたおかげで、試作の人たちと話しをさせてもらって、色々勉強させてもらいました。

あ、そうそう、現場の人にビビってる設計者って、なかなか足を運ばないから、現場はますます腹が立つってとこが見えてなかったりしませんかね。
まぁ、気持ちは分からなくもないけど(笑)
逆に私は頻繁に現場に行っていたので、ずいぶん可愛がってもらいましたね。

でも、試作工場に頻繁に行ってたのは別の理由もあるんです。
日々、現場の「神の手」によって車が形になっていくのが見られるんですよ。
これはエキサイティングですよ。超リスペクト!
なので、何かと理由をつけて試作工場に行ってたというのもあります。

ってな感じで、エンジニアリングするうえで、頭が全てってわけじゃなくて、他のやり方もありますよ。
というお話でした。

Real Deadline 本当の締め切り

どんなクルマにするか考える

狙ったとおりになるように考えて設計する

狙ったとおりになるように作る

狙った性能が出るように実走行でセッティングする

こんなプロセスで学生達はレーシングカーを作っていますが
完成したクルマはもちろん
それぞれのプロセスにおいても
何が起きるか分かりません。

だって十分な経験がないのだから
それは当然です。

解析や強度計算がうまくできると
部品単品としては思った通りになるかもしれません。

しかし
それらを組み合わせて
実際に使う(走る)と何が起きるか分からない。

それは
作っている人間の
想像の領域の外のこと
イレギュラーなことが起きるからです。

いくら勉強しても
いくら慎重に設計しても
そういうことは起きます。

現実の世界では
イレギュラーなことは
常に起きる可能性がある。
要因は無数にあります。

授業ではそういうことは起こりません。
時間内に予定されたことを
学べるように考えられているからです。

たとえば
実験の授業では
どんな結果が得られるかは
最初に決まっています。
イレギュラーな結果が出てしまったら
授業が終わらないからです。

本来は
何が起きるか分からないから
「実験」するのであって
最初に何が起きるか分かっていることを
やるのは本来の「実験」ではありません。

でも、授業では「実験」と称して
本当の実験をやるときに
必要なことを学ぶのです。
決して無駄ではありません。

さて
設計の際に
狙ったとおりのことが起きるようなマシンにするために
よーく勉強して
すっごく慎重に設計して
あらゆるイレギュラーな事象を想像して
設計すると何が起きるか。

間に合わなくなります。
レースに。

勝つためのクルマを作っているはずなのに
そもそもレースに間に合わなくなります。

特に学生の活動の場合
時間的にカツカツですから。

なので
今の自分たちには
どんなやり方が効果的なのかを考えて
チームの方針を定める必要があって
その重要性を全メンバーに落とし込む必要があります。
こういうのは授業では学べません。

最近はあまり聞かなくなりましたが
Formula SAEの重要なことの一つに

Real Deadline

があります。

直訳すると
「本当の締め切り」
です。

レースには色々な締め切りがあります。

大会へのエントリー
自分たちの開発スケジュール
レースのスタート時刻
などなど

これらの「本当の締め切り」を守っていかないと
自分たちのミッションは果たせません。

なので
最も効果的なやり方で
開発を進める必要があるのです。

設計段階で
色々考えすぎて時間を使ってしまうと
実走行による最適化のための時間を失っていきます。

いくらよーく考えてマシンを作ったところで
完成したときに得られる性能は
当初の想定よりずっと低いはずです。
大抵はガッカリします。

そして
そこから性能を上げていくのです。
それこそが学びです。

そうやって学んだことは
決して忘れません。

プロでもそんなもんです。
なので「試作車」が必要なのです。
走らせてみないと
実際にやってみないと
分からないからです。

チャレンジしている学生達には
やると
分かる
その面白さを味わって欲しいものです。

色々経験していくと
「やらなくても分かる」領域が拡大していきます。
そうなると
やることのレベルをどんどん上げていけます。

そのループに乗せられれば
ますます面白くなってくるでしょうね。

分かっていることを積み上げていけば安心だし
そういうやり方が必要な世界もあるでしょう。

別にどちらが偉くて
どちらが劣っている
なんてことはないですが

もしチャレンジできる環境にいるのであれば
とにかく色々やってみて
起きる事象に対応する度に試されて
その度に学んで成長していく
そんな毎日も良いのではないでしょうか。

学生生活なんて
迷ってるうちに終わっちゃいますよ。

好きこそ物の上手なれ

昔から

好きこそ物の上手なれ

と言いますね。
好きなことは上達するもんだ
といったような意味です。

論語にもあります

子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず。
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。

あることを知っていても
それを好きな人にはかなわない。
それを好きな人は楽しんでいる人にはかなわない。

ってことです。
まさに真理!

というか
昔からそんなの当たり前だったのです。
にもかかわらず
最近はそんな感じが薄れているように感じます。

工科系の学生は
もちろんそっちの分野に興味があるから
その道を選んでいるわけで
日頃から
もっとワクワクすることに接していれば
もっともっと伸びると思うのです。

現状は
学ぶ内容が自分の価値観に対して
距離を感じさせるようなものになっていて
自ら進んで「モノにしたい」と思えないのでしょう。

技術の価値の根底にあるものって
「動いた!」
「飛んだ!」
「走った!」
「速いぞ!」
とか
とてもプリミティブな感情だと思うんです。

それを支えるために周辺の技術があるわけで
細かい個別の技術がスタート地点ではないはず。

まぁ、中には細かい要素技術が好きで
そういうのが得意な人もいると思いますが。

ゴールが
「うわー!すげぇ!これやりたい!」
というようなものであれば
周辺の知識や技術は
自ら進んで掴みに行くでしょう。

興味を持てない
何に使うか分からない
そんな知識を
とにかく理解しろ
というようなやり方は
ボチボチ限界なのではないかな。

なので
その辺のやり方に関しては
まだまだ工夫する余地があるはずです。

奇跡の国の若者たち

自分が住んでいる国は
自分にとっては当たり前で
それが基準なわけだから
別になんとも思わない
それが普通かもしれません。

しかし
我が国についてよくよく考えてみると
こりゃ凄いな
と改めて思うんです。

だって
たいして資源らしい資源なんて無いですよね。
それに島国なわけだから
他国の情報を入手するのは
いちいち大変なはずなのです。
今はネットもあるし、飛行機もあるので
さほど不利ではないですが
かつてはかなりの日数をかけないと
他国の文化なんて知ることすらできなかったはず。

そんな状況から発展していって
こんな水準を保てている国はそうそう無いです。
生活のレベルはもちろん、文化や技術もしかり。

むやみに
日本サイコー!
とか言いたいわけではないのだけど
冷静に考えてみると凄いと思います。

ここまで発展したのは
先人の努力によるものなのですが
それにしても良くやるなぁ
と思ってしまいます。

現状は
バブルがはじけた後に
失われた20年とか
色々あったりして
自信を失っている部分もあると思うのです。
加えてコロナ禍ですものね。

ですが
現状を悲観したり卑下したり
暗く悲しい気持ちを持って何かをやっても
うまくいかんと思うのです。

きっと我々の先人たちも
危機感とかはあったかもしれませんが
悲観的な気持ちで
色々やってきたわけではないはずです。
そんなんじゃうまくいかないはずです。

なので
前向きな明るい気持ちで行きましょうよ!

なんてことを改めて思ったりする今日この頃。

というのは

私が面倒を見ている学生達
毎日オンラインで
超頑張ってます。

学生の活動なんだから
気が向いたときにボチボチやってんだろ?
とか思います?

いやいやとんでもない!
朝から晩まで毎日フルパワーですよ。
さすがに週末は休んでるようですが。

最初の緊急事態宣言が出てから
ずーっと
そんな調子でやってます。
もう1年くらいになりますかね。
よーやるわ。

なので
オンラインで
できることを伸ばしまくった結果
新人の1年生は
超絶に成長しまくってます。

で、彼らを見ていて思うんです。
ろくに経験が無い連中が
クルマ作ったり惑星探査機作ったり
してるわけなんですが

経験が無いから
自信が無いから
ということを理由に
自信なさげな表情とかしないんですよね。
超元気!

あぁ、それがうまくいく秘訣か
と。

そんな表情だと
周囲の連中は
「これはイケるわ!」
と思って頑張るんですよね。
それがチームで連鎖してる。

もう毎日オンラインで
「行っちゃえ!行っちゃえ!!」
「やっちゃえ!やっちゃえ!!」
ですよ。

普通は、自信が無かったりすると
それなりの表情になるじゃないですか。

その表情見て
「力になりたい」
って気持ちにはならんのですよね。

「あぁ、大変なんだったら
その辺にしておいたら?」
なんて思ったりしてしまいます。

表情とか元気とか
ちょっとしたことなんですが
そんなことが環境を作っていくんですね。

日々、学生達から学んでいます。

やはり「技術は人なり」だ

お付き合いのある
とある会社の社長さんが
我が夢工房に来てくれました。
F1とかMotoGPなどの
トップカテゴリーのマシンの部品はもちろん
ジェットエンジンとかロケットとか
とにかく最先端の部品を
世界最高の精度と品質で作る
凄い会社の社長さんです。

世界中の(「日本中の」ではありません)トップカテゴリーの
ほとんどのチームがその会社に部品を発注しているので
どのチームが勝っても嬉しいという凄い仕事をしてます。

レーシングマシンの仕事しかしていないわけでないけど
こんな表現ならレベルの高さが分かりやすいのではないかな。

本学の卒業生もその会社で良い仕事をしてますし
仕事をオーダーしているチーム側の設計者も
私の研究室の卒業生だったりします。

嬉しいやらありがたいやら。

今まで何度も工場を見せてもらって
話を聞かせてもらっていますが
そのたびにビックリしたり納得したり。

話を伺っていて
エンジンからEVにシフトするとか
自動車そのものの形態が変わっちゃうとか
これから色んなことが大きく変わるだろうけど
高いレベルにチャレンジできる組織は生き残っていくんだな
と感じました。

「これからはEVだ」
と聞くとすぐ動いちゃったり
フラフラすると生き残っていけないみたいですね。
トレンドに追従したくなる気持ちは分からなくはないけど。

チャレンジして強みを作って磨いていく
本筋はこれだな。

やっぱり「人」だな。
と思いました。

チャレンジする人が
高い技術を必要とする
高い技術を生み出す

「技術は人なり」
ですよ。

結局は本人次第なんだけど
背中を押すことはできるはず。

夢工房では
せめて原石を割って
宝石が見えるくらいのところまでは持っていきたいものです。

できないことなんてない

言いすぎかも知れませんが
あながちそうとも言い切れません。

大学で学生と接していると思います。

技術や知識が何かをできるようにしているわけじゃないのだなぁって。

だってね
どんなに勉強ができたって
何か作れる
何かができる
とは限らないんですよ。

授業で成績優秀な学生に
「何か作ってみ」
と言っても
できるとは限りません。
成績が悪い子でも同様ですけど。

私も工科系の大学を出てますが
授業を受けてるときに思いました。

「この勉強で、自分の好きなクルマとかバイク作れるようになるんかなぁ?」

それは卒業まで確信に変わることはありませんでした。

もちろん授業の内容が全く役に立たなかった
ということではないですよ。

でも、いける気がしないままでした。
これで何かができるようになるとは思えなかったのです。

なので、在学中はレースばっかりやってました。
もしくは、江ノ島の堤防で昼寝してるか、バイトしてるか。

そんな話じゃタイトルと違うじゃないか!

そうですね。
本題はここからです。

冒頭の方で

どんなに勉強ができたって
何か作れる
何かができる
とは限らないんですよ。

と言いました。
これは事実だと思いますが

勉強ができるできないに関わらず
やりたいと思ったことは結構できるもんだ

ということが言いたいのです。

だってね
ろくにモノをつくったことがない学生が
レーシングカーを作れるようになるんですよ。

海外なんて行ったこともないのに
マシンを輸出する手続き取ったり
現地で色々やったり。

勝つためにマシンを作ろうと思ったら
強度計算とか解析とか設計とか実験とか加工とか…
それこそ山ほどできなきゃいけないことがあります。

でも、彼らはそれをやってますからね。
ほとんど自力で学んでいる。

一応、教員として私が面倒を見ていますが
別に授業みたいに
「はーい、これから車の作り方を教えますよー!」
なんてやってませんから。

分からないことを聞かれたら答えることはありますけどね。
燃える学生の背中を押すのが役目です。

なので
初動は学生自ら
です。

恐らく
教員が手取り足取り
アレやれ!コレやれ!
みたいにやってたら、こんなに大変な活動は
これほど長年続かないと思います。

やはり学生自身がやる気にならないとね。

そのパワーの源って、自身の心ですよね。
「やるんだ!」
っていう気持ち。

彼らのやっていることを見ていたら
「あぁ、できないことなんてないんだなぁ」
って思いますよ。
人の心の力って凄いなぁと思います。

あの巨大なギザのピラミッドとか
墳墓としては世界最大級の仁徳天皇陵は
いずれも完成するまでに20年ほどを要したと言われています。

その結果分かったことは

奴隷を使った労働では不可能であった

ということ。
そんな大規模な大事業は
力で無理矢理やらせるようなやり方では
必ず奴隷の反乱が起きて
継続できずに破綻するはずで
自発的な労働であっただろうということです。

自身がが「やる」と決めたら
凄い力が発揮できるということですね。

レーシングカーの作り方…の知り方

日本でレーシングカーを作るための実践的な知識を得たければどうしたら良いでしょうか。
学生がやっている手作りレーシングカーのFormula SAEマシンとか。

実はほとんど手がありません。

レーシングカーの作り方について実践的な内容が書かれた本は…
2冊ほど知っていますが、いずれもかなり古い本です。
内容が古くても本質は変わらないので
今でも役に立ちますけどね。
とはいえ絶版ですので
入手は難しいかもしれません。

あとは自動車技術会からも出ていますね。
理論的なことを理解するには良いのではないかな。

F1のメカを解説した本なんかはあります。
技術的な興味を満たすには良いですが
あれでレーシングカーは作れません。

ネットでもある程度情報が得られますが
部分的な知識であることが多いようです。

書籍でレーシングカーを作るための知識を得たければ
やはりアメリカでしょうね。
結構な数があります。
イギリスにもありそうな気がします。

欧米(オーストラリアやニュージーランドを含む)には
手作りで車を作る文化が今でもありますから
そういう知識に対するニーズが一定数あるのでしょう。

プロジェクト・カーとかプロジェクト・バイクなんて呼んで
長期的に家のガレージで週末に
レストアするとか
大幅な改造をするとか
人によっては車体ごと作ってしまうとか
そういうのを趣味にしている人達がいます。

作ること自体が楽しみだったり
乗って楽しんだり
そういう手作りの車で走れるレースもありますので
そういう文化が定着しているのでしょう。

ただ、人数自体はそんなに多くはないと思います。
多い少ないって主観的なものなので表現が難しいですが
カスタムカーがそこらじゅうで走り回っている
という感じではないです。決して。
アメリカでもイギリスでも。
まぁ、たまに見かけますので
一定数は確実にいるのですけどね。

バックヤードビルダーなんて呼ばれる人たちは
そういう人達ですね。
プロ、アマ問わず。
車に限らず
家で家具作ったりする人達もそう呼ばれますが。

日本国内のレーシングカーコンストラクターは
だいぶ減ってしまいましたね。
見学に行くのも良いでしょうけど
設計を教えてくれってわけにはいかないでしょう。

四苦八苦して
レーシングカーの設計や製作の
基本的な部分を理解したところで
それで戦力を持ったマシンを設計できるわけではありません。
実際に試行錯誤して
何度も何度も色々とやってみないとね。
本読んで知識を付ければ済むわけじゃないんですね。
まぁそういうものです。

というわけで
レーシングマシンの設計とか開発って
いわゆる暗黙知の世界なんですね。
やらないと分からないことばかり。
まぁ、ものをつくるって往々にしてそんなものです。

ところで
職人さんって
教科書で学ぶのではなく
見て覚える
見て技を盗む
という世界でしょう。

この
見て盗む
というのは
結構理にかなっていると思います。
目で見て分かる「型」をまねる
「型」が同じであれば同じ結果が出る
ということはないので
その過程では
多くの自分なりの工夫が必要です。

なので
一見同じようなものをつくっているようでも
実は進化している
ということがあるのではないかと思っています。

出雲とか伊勢の遷宮なんかはそういうものらしいですね。
何年かに一度
腕の立つ宮大工が全国から集まってきて
そのときの最新技術で以前と同じお社を作って
(もちろん伝統的な技術も使います)
神様が新居にお引っ越しする
というイベントです。

そんなものづくりの世界ですが
それでもアメリカ人は
そういうのをノウハウ化して残しちゃうから凄いです。
とはいえ!
やはりやってみないと分からない世界であること
には変わりはありませんけどね。

というわけで
実践的なレーシングカー作りの解説書
探すなら洋書が一番ということになります。

英語が苦手だから心配?
大丈夫です。
好きな世界のことなんだから理解しやすいですよ。
それに分からないことがあっても
自力で何とかしようとするでしょう?
それが本当の学びではないでしょうか。

ものがないのでものづくりの何を伝えるか

学生の設計内容を
特に1年生のものを確認していると
色々と気付くことがあります。

具体的には
客観的にどう見えるか
使用者を考えているか
使用環境を考えているか
あたりが見えていないなぁといったところです。

もちろん彼らはノウハウを知らないわけですし
機構や材料、要素部品についての知識など
基本的な知識が不十分だったりもします。

そもそも人が使うものなのに
ユーザーの視点に立って考えていなかったり
起こりえるイレギュラーな事象を
想像できていなかったりもします。

でも
学生なのだから
最初はそんなものです。
自分が作ってみたい物をなんとか形にしたい
というレベルからスタートです。

現状では
こうなるはずだ
という自己中心的な考え方になってしまっています。
こうなるかもしれない
という外部の不確定要素を視野を広げて
色々と発見できるようになると良いのですが
そういうのは
実際にものをつくらないと腹に落ちません。

そもそも人が使うものなのだから
ユーザーの視点に立って
どう見えるかとか
起こりえることなどを
作ったり試したりしながら体感できると
話が早いのです。

そのチャンスがあるのが
ものをつくる活動の良いところですね。

その辺に気づきを得られれば
クリエイティビティが刺激されて
急成長できます。

しかし
今はすべてをオンライン環境で進めているので
「じゃぁ作って試してみようか」
と簡単にいかないのが歯がゆいところ。

物体に関することを
言葉や文字や絵で伝えるしかないのですが
限界があります。

はやく大学に来て
物に触れるようになれば
色んなことが一気に解決するのですけどね。

そのときのために
どこまで準備しておけるか。
それが今すべきことの一つなのです。

結果として昨年は
マインドとメンタルの面を
集中的に伸ばせたと思います。

思えば
1年生と、こんなに色々話したことは
かつてありませんでした。
自分の経験や過去の事例、一般論など
口頭で可能な限り
伝えたつもりです。

このへんはオンライン環境のメリットですね。

ひょっとすると
彼らは今後
凄い伸び方をするかもしれない
とも思っています。

実際に手を動かして
ものをつくり始めると何が起きるか
今から楽しみです。

これから”も”必要とされるエンジニア像

この先、どのようなエンジニアが
世の中から必要とされるのでしょうか。
そのために学生はどのように成長すべきでしょうか。

工科系の大学で教員という仕事をやっている限り
こういうことを考えるのは重要なことです。
世から求められる人材を育成するのが仕事ですから。

端的に言ってしまうと
エンジニアは
新しい価値を作り出してナンボですよね。
そのための資質は基本的に重要です。
これは時代が変わっても普遍でしょう。

私は良いエンジニア
であったかどうかは分かりませんが
幸いにして素晴らしいエンジニア達に
囲まれて成長する運には恵まれました。
これには本当に自分でもビックリです。

自身の実力よりも人間関係に
恵まれていたので今がある
と思っています。

いろんな人がいましたが
皆さん共通していたのは
何かしらの明るさとか
強さを持っていたことだと思います。
あとはスピードですね。

「何かしらの」と表現したのは
「同じような」ではないからです。

皆さん個性的でした。
他と同化したがるようなところは
無かったと思います。
なので今でも「普通は」と
良く口にする人に接すると
違和感を感じてしまうのです。

「そこに答えは無いだろ」
と思ってしまう。

一口に明るさといっても色々ありますよね。
一見して明るい性格の人や
真面目そうなのだけど
どこか面白さを秘めたような人。
共通していたのは前向きな姿勢
だったのかもしれません。

強さは、力強いとか
ひたむきで粘り強いとか。
心の強さは重要です。
だって開発って必ず失敗したり
行き詰まったりしますからね。
そのときにどうするか
そこからどうするか
が勝負です。

スピードに関しては言うまでもありません。
前に進まずに考え込んでしまう人に
仕事ができる人はいませんでした。
これは当然ですね。
即断即決!即行動!

すぐに動けるということは
頭の回転が速い場合もありますが
自分の軸を持っているので
直感的に判断できるケースも
多いのではないかと思います。
そういう人は日頃から
色々考えているのでしょうね。

すぐに動くのは
やはり勇気でしょう。

こういった資質は生まれながらの
ものかどうかは知りません。
でも、後天的に身につけられるはずです。

自分が
そうなりたい
と願えば。

すべてではなくても
何かに特化しても良いと思います。
それは自分の戦略次第。

こういうのって外部から
「こうしろ」
と言ったところで
そうなるものではないですね。
もしそうなるのであれば
授業を受けたり本を読めば良いわけでしょう?

でも、誰でも受けられる授業や
誰でも読める本を読んだところで
皆と同じになるだけであって
そこに固有の価値は無いでしょう。

と、こういうことを言うと
よく揚げ足を取るように誤解されるのですが
なにも勉強する必要なんか無い
なんて言うつもりはありませんからね。

やはり重要なものは
色々やる経験の中から
身に付けるものなのでしょう。
これこそが経験知の一つなのかもしれません。

夢工房の連中は
レーシングカーや惑星探査機をつくる経験の中から
何かしら身に付けてくれるといいなぁ。

他の多くの学生達にも
色々なことに挑戦してほしい。

と、こんなことを昔を思い出しながら書いてみました。