レースってこんなことしてます その4 レーシングマシン

レーシングマシンとはどんなものなのでしょう

ぶっちゃけ
レースに使う乗り物は
どんなものであれレーシングマシン
ということになります。

ここでは
サーキットなどで行われているレースでよ
く見かけるものを紹介しましょう。

レーシングマシンの形態としては
以下のようなものがあります。

プロダクション
街乗りの量産車両ほとんどそのまま
もしくは
量産車両ベースで改造したものです。
改造の範囲は、出場するレースの規則に合わせる必要がありますが
参戦コストを抑えるためとか
参加者の差を抑えてレースを面白くするために
一般的には改造の自由度は高くありません。
余計なものを外すとか
安全面での追加を義務づけられる特定の部品
くらいでしょうか。
特定の車種で争われるワンメイクレース
プロダクションクラス(市販車クラス)なんかはこれです。

市販レーサー
メーカーから競技専用車両として販売されているものです。
バイクだと量産メーカーのカタログラインナップに載っているものもありますね。
誰でも買えるレーシングマシンです。
あなたも買えます!
多くの場合は年間の生産台数が決められていて、それが完売すれば終了。

  • そもそも純粋なレース用マシンとして開発されているもの
  • 街乗りの量産車から保安部品など余計なものを取り外した状態で
    競技専用車両として販売しているもの

という2つの形態があります。
前者はバイクならロードレーサーとかモトクロッサー。
トライアル用のマシンもありますね。
後者の場合は
性能的には量産車とほぼイコールなので
バイクの場合はプロダクションレーサーとして扱われることもありますが
どんなレースに出られるかは
主催者の判断によるといったところでしょうか。

四輪の場合
ナンバープレートを付けることができないレース用車両
として販売されているものは
ワンメイクレース用の車両だったりします。
一部の国内メーカーや、ポルシェ、フェラーリなんかは
そういう競技車両をリリースすることがありますね。

ワークスレーサー
ファクトリーレーサーとも呼びますね。
レーシングカーコンストラクターや自動車メーカー(いわゆるワークス)が
レースに出るために作ったマシンです。
こういうマシンが出場するレースは
メーカー同士のガチンコ勝負なので
そこで勝つために作られたマシンは超ハイレベルです。
F1とかMotoGPのマシンなんかはこれです。
有名なバイクのレース
鈴鹿8時間耐久に出ているマシンは
規則上の都合上
量産車をベースにしているものの
改造範囲は広く
メーカーから参戦しているチームのマシンは
セミ・ワークスと言って良いレベルです。

プライベーターが作ったマシン
国内ではあまり見かけませんが
個人レベルで作られたレーシングマシンもあります。
欧米ではそういうマシンで競うカテゴリーもあります。
中には
ワークスレーサーが出るようなレースに
プライベーターが参戦して優秀な成績を上げる
なんてこともまれにあります。
もう亡くなってしまいましたが
ニュージーランドのジョン・ブリッテンなどは
その好例でしょう。
手作りで2気筒1000ccのバイクを作って
アメリカを中心に大暴れしてました。
この件はそのうち取り上げましょう。

バイク好き
クルマ好き
であれば
速いのに乗りたいと思ったりするでしょう?

「レーシングマシンで公道走ったらどうなんだろ?」

なんて思うこともあるかもしれません。

まぁ走れないことは無いですね。
頑張って合法的なレーシングマシンを作ることも可能でしょう。

でも、そんなことすると大変です。
非常にめんどくさい乗り物になります。

まず各部の耐久性が低いので
メンテナンスサイクルが短くなります。
なので、金も手間も掛かります。

レーシングマシンは量産並みの耐久性を持ちながら速い
なんて魔法の乗り物では無く
耐久性を犠牲にして性能を得ているのです。
なので
頻繁な整備を前提に性能を保っているわけです。

なので、エンジンのオーバーホール(分解整備)のサイクルが短いとか
足回りの部品がすぐ劣化するとか
そういうことになります。

モノにもよりますが
レース用のエンジンは
数十時間の使用でオーバーホール
なんてのもざらにあります。

タイヤも同様です。
レース用のタイヤは
もーのすごくグリップします。

でもそれは
タイヤがちゃんと暖まった状態での話です。
逆に冷えている状態だと
恐ろしいほどグリップしません。

さらに消耗が早い。
あっという間に無くなっちゃいます。

ブレーキもそうですね。
レース用の超絶に効くブレーキは
レースでの高い温度域に合わせてあるので
街乗りの低い温度域では驚くほど効かなかったりします。

そんなのやってらんないでしょ。

そういう
何かを失って何かを取る
みたいな関係を
トレードオフと言います。

あなたの人生は何をトレードオフしてますか?

レースってこんなことしてます その3 速いってどういうこと?

今回も簡単なお話でいきますよ。

フィジカル面の投稿
スタート前に心拍数が上がる
という話をしましたが
自分のレースのスタート時のことを思い出しちゃいました。

スターティンググリッドに着いて
スタートを待っているとき
「今、帰るって言ったらみんな怒るかな~」
とか訳わかんないこと考えちゃうんですよ。

何を考えるかは
その時によるし
レースにもよるんですけどね。
でも、「帰る」なんて訳わかんないでしょ。
それくらい緊張することがあったってことですね。
逆に凄く冷静なこともあるんですけどね。

やっぱりスタートの時って普通の状態じゃないんだな。

レースのスタートは嫌いです。
シグナルが変わる瞬間までは嫌い(笑)
最初の1周は大好きだけど。

さて
レースの難しさって
すなわち楽しさでもあるんですが
どの辺が難しいのでしょうね。

個人的には
限界が目に見えないないこと
だと思ってます。

例えば
コーナリングしていて
どのぐらいのスピードで曲がれるかとかは
目に見えるわけじゃないのですよ。

「あー、このへんが限界かなぁ」
「ボチボチ限界が来そうだなぁ」
と感じることはあります。

でも
物差しの目盛りを見るようには限界は見えない。
その「分からない」が
難しさで
それを何とかするのが
面白さかなぁ
と思ったりします。

もちろん
プロのレーサーは凄いですよ。
凄い精度でマシンをコントロールします。
五感のセンサーが凄い性能なんですね。

ちなみに
レーシングマシンにはスピードメーターは付いてません。
「このコーナーは何キロで入って~」
なんてやりません。

そうそう
昔、筑波サーキット(聞いたことあるでしょう?)
ってところをバイクで走ったのです。
確かタイヤメーカーの走行会だったかな。
当時レースもやってたんですが
たまたま街乗りバイクを買った直後だったので
「サーキットでも走ってみようかな-」
と軽い気持ちで行ってみたんですよ。
結構速いバイクだったもんで。

走行中に
バックストレート(メインの直線以外の長い直線です)で
何キロ出るか気になったんですね。
一番スピードが出るのは、その直線の終わりの部分です。
その直後はもちろんコーナーなんですが
そこでメーター見たんですよ。
「おぉ、すげぇ!こんなに出るんか!」
とか喜んでるうちに
その後はすぐに最終コーナーが来るわけですよ。
ブレーキングが遅れて飛び出しそうになりました。
死ぬかと思った。
それ以来
街乗りバイクでサーキット走っても
スピードメーターを見なくなりましたとさ。

速く走るためには
技術とか経験とか
もちろん勇気とかも必要なんですが
どうなっちゃうか分からないような
無茶はしません。

死にたくないし。

レースやってると
「危なくないの?」
と聞かれることがありますが
答えに困りますよね。

だって
確かに凄いスピードでクラッシュしたら危ないですけど
レースって、クラッシュするために走ってるわけじゃないですから。

クラッシュするってことは
すなわち負けるってことです。
なので
クラッシュはしたくないです。絶対。
でも
限界からほど遠い走りをしていたら勝てない。
その狭間で走ってるんですよね。

正直なところ
レースはリスクあるけど
ラグビーほど危険じゃないと思うな(笑)
いや、どうなんだろ。

でも、サーキットにはメディカルはあるし
準備は整った状態でレースしてるからなぁ。
サーキットでの死者数って
驚くほど少ないはずです。

それにあんまり危険にはフォーカスしてないかな。
そんなとこばかり見てたら
レースなんてできないと思う。
リスクのネガティブ面を見てたらきりがないです。
日常生活も一緒でしょ。

さて
ここからが今日の本題です。

レースは競争なので
勝ちたいわけですが
勝つためには速く走らなきゃいけません。

前を走る人がいたら
抜かないといけません。

抜くためには
前走者よりスピードが速いことが前提です。

レースは
コンマ数秒を争う
なんて言われますが
どういうことか

例えば
1周2kmのサーキットを10周走るレースがあったとしましょう。
そのサーキットでのトップスピードは200km/h
ざっくり1周の平均スピードは100km/hくらいと考えましょうか。

1周のラップタイムが0.1秒違うとどうなるか
たかだかコンマ1秒です。

スピードが100km/hなら
0.1秒に進む距離は2.8m

10周のゴール時には1秒の差が付きます。
距離にすると28mの差が付くということです。
これは圧倒的な差です。
そう簡単には埋まりません。

そのサーキットに5つのコーナーがあったとしましょう。
1周で0.1秒稼ぎたければ
コーナー1つあたり
0.02秒速く走れば良いのです。

まぁ、それが簡単ではないのですけどね。
でも、そういうお話なのです。

その0.02秒のためにどうするか

トレーニングしたり
マシンのメンテナンスだったり
できそうなことは色々あります。
山ほどあります。
メンタルだって効いてきますよ。
だって0.02秒だもの。

頑張ってレースやってる人なら
ある程度経験を積むと
サーキットのラップタイムのバラツキは
コースや人によりますが
大抵は1秒以内になると思います。
1周1~2kmの短いコースなら0.3秒以内とか。

1周走る間に
アクセル開けたり閉じたり
ブレーキ掛けたり曲がったり
なおかつ走行ラインも考えて決める
凄い数の操作をして
そのバラツキですよ。
凄いですよね。

チマチマスピードを稼ぐ重要性がお分かりいただけましたか?

もう一つ重要なことがあります。
これも超重要。

それは
前走者と違う走行ラインを取る必要がある
ということです。

当たり前ですね。
同じラインで走って抜こうとしたら
絶対抜けません。
追突しますから。

これね
日常生活や仕事に置き換えて考えてみてください。

前走者と同じことをしていたら抜けない

そう
周りと違うことをしないといけないんですよ。

意識してますか?
勇気いるでしょう。
変態の馬鹿野郎になる必要があるってことですよ。
…って、そうじゃない?

他にも色々あるんですが
今回はこのへんにしておきましょう。

レースってこんなことしてます その2 モータースポーツのフィジカル面

前回はレースの種類をざっと説明してみました。
今回は、どんなことをしてるかを
ちょっとだけ掘り下げてみましょう。
今回はフィジカル面です。

まず最初にご理解いただきたいのは
モータースポーツはスポーツであるということです。
最初、「れっきとしたスポーツである」
って書きたかったのですが
「れっきとした」をやめました。
後ろめたいことはないのですが
モータースポーツは特殊なんだな
と思ったからです。

なぜ特殊かというと
人間のパフォーマンスに対して
使う道具のパフォーマンスが非常に大きいからです。

ここがモータースポーツがスポーツとして
日本で認知されない理由の一つなのかな
とも思っています。

動力源が付いた乗り物に乗るわけだから
楽だと思う人が多いのではないかな。

とんでもない!

もう一回言いましょう

とんでもない!

今でも忘れられないことがあります。
昔、1997年に中野信治選手が
日本人として5人目のF1ドライバーになったとき
あるニュースにゲストとして呼ばれて
アナウンサーから聞かれました
「F1って疲れるんですか?」

言葉を失ってしまいました。
中野選手は苦笑いしてましたが。

20年以上経った今でも
一般的な認識は
そんなに変わっていないのではないでしょうか。

四輪の究極のレーシングマシンであるF1マシンは
曲がったり止まったりするのに4G以上のGが掛かります。
つまり体重の4倍以上の力が掛かるわけで
仮に体重を70kgとすると
なんと280kg以上の力が止まったり曲がったりするときに作用するわけです。

ドライバーはこの力にただ身を任せているわけではなく
これに抗って色々考えながら正確にマシンを操作しています。
普通の人なら1分も耐えられないかもしれません。
ちょっと異常なレベルです。
レースでは、これを2時間、距離では300kmくらいやってるわけです。
なので
F1ドライバーは例外なく超マッチョです。
無駄な筋肉はありませんが。

では
もっと小さいマシン
もっと短い時間のレースではどうか?

もちろん程度の差はありますが
どんなカテゴリーでも
本気で走るなら
やはり体力は必要になります。

どんな例えなら分かりやすいかな。

例えば
モトクロスなどのオフロードコースをバイクで走ったとしましょうか。
凹凸とカーブがあるオフロードコースです。
1周の長さは1km程度。
大きいジャンプや上り下りなんかは
話がややこしくなるので無しにしましょう。

仮に
そんなコースを50ccのバイクで
頑張って走ったとしましょうか。
レースではなしに。

バイクに乗れる人なら、かなり楽しいと思います。
でも、頑張って走ると2周は走れないかもしれません。
それくらい体力を使います。
もちろん、初心者だと無駄に体力を使ってしまう
というのもありますが
参考にはなるでしょう。

レンタルのゴーカートなどでも
そこそこ速いのに乗って本気で走ると
かなりの体力を使うことが分かると思います。
「2時間連続で本気で走ってみろ!」
って言われても
「無理です」
ってことになるでしょう。

スポーツ生理学では
サッカーの運動量がトップレベルだと思います。
で、モトクロスはその次くらいに位置します。

一般的には
強力なエンジンが搭載されたマシンの方が
より体力を要する傾向になると思います。

大きな力で
凄いスピードで動くマシンほど
操縦する側はマシンの動きに先行して
体が準備できていなければならないし
コントロールもシビアになるからです。

じゃぁ
小さい排気量のミニバイクのレースや
周回数の少ないレースは楽なのか
簡単なのかというと
決してそんなことは無かったりします。

排気量が小さかろうと
走行時間が短かろうと
勝とうと思ったら全力ですので
やはりそれなりに大変な世界なのです。

私がかつてやっていた中で
フィジカル面で一番大変だったのはエンデューロです。
オフロードの耐久レース。

2人組で4時間とか8時間とか走ってました。
バイクは250ccとか600cc
600ccはきつかったなぁ。
パワーありすぎて。

8時間のレースが終わると
なんと体重が5kgも減っちゃうんですよ。
お尻の皮が剥けちゃうし。

脱水症状にもなっちゃうので
走行中はハイドレーション
水が入ったバッグですね
これを背負って水分補給しながら走ります。

ちなみに
エンデューロをやっていた頃はサラリーマンだったのですが
夜9時まで残業して帰宅したら
筋トレして
ロードワークして
それから寝るのが日課でした。
雨が降っても毎日。

走りきって良い成績取るには
そうするしかなかったんですね。

後にロードレースに転向しましたが
その時は小排気量のレースだったので
体重を減らすために食事制限をして筋トレしてました。

そうそう
レースに体力は必要ですが
忘れがちな重要なことがあります。

それは呼吸。
集中して体力を使うシーンでは
ついつい呼吸が止まります。
特にコーナリングの時ですね。

それが継続すると酸欠状態になって
正常な判断ができなくなります。
なので
レース中は意識的に呼吸をするようにしてましたね。

みなさんも普段
忙しいとき
緊張したときに
呼吸が止まっているかもしれませんよ。
意識してみてください。
ハイドレーションも忘れずに(笑)

あと意外と知られていないこと。
レースのスタート前
シグナルが変わる直前は
まだ体が動いていないにもかかわらず
心拍数が100を楽々突破します。
こんなスポーツはなかなか無いのでは?

レースってこんなことしてます その1 レースの種類

ビギナー向けに
レースってどんなことをしてるんでしょう
というお話をしてみましょう。

まずは代表的なものを挙げてみましょう。

レース
サーキットなどのコースで複数台のマシンで
抜いたり抜かれたりして競争するのはこちら。
舗装されたサーキットを走るのは
ロードレースと呼ばれたりもします。

タイムトライアル
決められたコースを
どれだけ速く走れるかを競うのはこちら。
レースのように周回したり
同時に複数台が走って抜いたり抜かれたりはしません。
サーキットのようなコースを使うこともありますが
日本では駐車場のような広場に
パイロンでコースを作ることが多いです。
で、スタートからゴールまでのタイムを競います。
日本ではジムカーナ(未舗装路の場合はダートトライアル)
欧米ではオートクロス
と呼んだりしますね。
ヒルクライムと呼ばれる
山道を閉鎖して行うイベントもタイムトライアルです。

ラリー
多くの場合は公道で
あらかじめ決められたルートを走行します。
これも抜いたり抜かれたりはしません。
日本のラリーでは
決められたルートの距離を計測して正確性を競ったりします。
(昔はそうでした。今はどうなんだろう)
皆さんが想像する山道を疾走するシーンは
スペシャルステージ(SS)と呼ばれる特別な区間の
通過タイムを競ったりすしているところです。
詳しくないのでこんなもんで勘弁してください。

ドラッグレース
いわゆるゼロヨンってヤツです。
多くの場合は
停止状態から400mまで加速してタイムを競います。
何で400mかというと
4分の1マイルだからです。
それはなぜだと言われたら困りますが。

ランド・スピード・レーシング
長い直線路で1台ずつが最高速を競う競技です。
日本ではあまりなじみが無いですが
最も古いレースの形態です。
ここでは詳細を省きますが
なかなか奥深い世界ですので
機会があったら記事にしましょう。

他にもまだまだたくさんありますが
このへんにしておきましょう。

「競う」という意味では
これらをひっくるめて
レースという呼び方をしたりすることもありますが
カテゴリーとしての分け方はざっくり上記の通りです。

さて
サーキットを走るレースには種類があります。
いずれも「どれだけ速いか」を競ってるんですが
サーキットなどのコースを走るレースだと
大きく分けて

スプリントレース
あらかじめ決められた周回を
どれだけ速く走れるかを競う
レースの最も一般的な形態です。
一斉にスタートして
一番最初にゴールラインを通過した者が勝者です。
F1とかMotoGPなんかはこれ。
オフロードを走るのはモトクロスと呼ばれます。

耐久レース
決められた時間にどれだけの周回数を走れるかを競います。
複数台でそれなりに長時間走るので
見ていると誰がトップか分からなくなります。
なので各車の周回数がカウントされています。
ドライバー/ライダーは複数名で走る場合がほとんど。
途中で給油やタイヤ交換をしたりすることもあります。
規定時間が経過したらチェッカーフラッグが振られて各車ゴール。
一番周回数が多かった者が勝者です。
複数名で走ればチーム全員の勝利ですね。
ル・マン24時間とか鈴鹿8時間なんかはこれ。
オフロードを走るのはエンデューロと呼ばれます。

いずれも速い人が勝者なんですが
タイムトライアルと違って
抜く技術とか駆け引き
レース全体を通しての戦略
なども重要になります。

学生がやっているFormula SAEでは
75mの直線加速を競うアクセラレーション
8の字をグルグル回って旋回性能を競うスキッドパッド
コース1周のタイムを競うオートクロス
2名のドライバーで20kmを走るタイムと燃費を競うエンデュランス
の4つのイベントでマシンの性能を評価します。

エンデュランスでは、1台ずつスタートして
コース上には3台程度が同時に走行します。
もちろん速い車が遅い車に追いついたりするのですが
その場合はコース上に数カ所設けられた
パッシングエリアとかパッシングゾーンと呼ばれるところで
遅い車が道を譲ることになっています。
耐久レースとタイムトライアルを混ぜたようなイベントですね。
正直これは燃えます!
乗っている方も見ている方も。

ちなみに私が過去に経験したのは
二輪はロードレースでスプリントと耐久、オフロードではエンデューロ
四輪はダートトライアル
そんなもんですね。
18歳頃から20年以上色々やりましたが
自分ではそれほどキャリアが豊富な方だとは思っていません。

トップエンドでいこう

コロナウイルスが再び猛威を振るい出しました。
皆さんお気を付けください。

でも
くれぐれも心配しすぎて
ネガティブな心にとらわれないでくださいね。

かといって
コロナなんて恐れる必要ないから
普段通りガンガンいけ!
なんて言うつもりはありません。
ちゃんと感染予防はしましょうね。

さてさて
今回は
どのように未来に向かっていくか
というお話をしましょう。

教員やって20年くらいになりますので
学生を見て
「あぁ、こいつはうまくいくな」
という勘はずいぶん磨かれてきました。

学生を見ていて
彼らから学ぶことって
凄くいっぱいあります。
教員は教えるのが仕事ですが
実は
学生から多くのことを教えてもらっている
と思ってます。

ほんの一例ですが
一人の学生の例をお話しましょう。

ずいぶん前に
私の研究室から巣立っていった男の話です。
そいつは今、MotoGPマシンの設計者です。
どこのチームに所属しているとか
具体的に何をやっているとか
すべて機密事項なので
そういったことは一切記しませんが。

当大学では
4年生から研究室に所属するのですが
そいつは3年生の春に私のところに相談に来ました。

「雑誌主催の最高速を競うイベントに出たいんです。
速いバイクを作るにはどうしたらいいですか?」
というのがそのときの彼の質問。

確か125ccくらいの小排気量のバイクを改造したい
という話だったと思います。

まぁ相手が3年生で
ボチボチ就職とかも考えた方が良さそうな時期ですから
聞いてみました。

「そんな小さいバイクの改造くらいでいいの?
本当は何やりたいの?
どれくらい速いバイク作ってみたいの?」

今にして思えば
正しい教員の返答は
「そんなこと言ってないで勉強しろ」
とか
「就職のこと考えろ」
とかなんでしょうけど。
残念ながら私はそういう思考回路を持っていません。

彼は
「本当は世界一速いバイクを作りたい」
と言いました。

正しい教員の答えは
「そんなのできるはずないだろ」
とか
「そんなこと言ってないで勉強しろ」
とか
「就職のこと考えろ」
なのかもしれませんが
残念ながら私はそういう思考回路を持っていません。
本当に残念なことです。

正しい答えを言えない私は
「ふーん。じゃ、世界一速いマシンを見に行く必要があるね」
と言って
アメリカのユタ州にある
ボンネビル・ソルトフラッツという広大な乾塩湖で開催される
最高速競技を見に行けと言ってしまいました。
映画なんかでも有名ですね。
私も一度見に行きました。
凄いイベントです。

そのとき彼には
本気で行く気があるなら
どうやって現地に行ったら良いかなど
具体的なアドバイスをする
と言う話をして分かれました。

私が行ったのは2009年です

そしたら後日来ましたよ。
なので
どんな飛行機に乗って
どこに行けば良いかとか
具体的な話になりました。

その流れで
「ところで英語は大丈夫なんかね?」
と聞いてみたら
「全然ダメっす」

「お金はどうすんの?
イベント中の近所の宿は3倍レートになってるから高いよ」
と言ったら
「金は全然無いのでこれからバイトして貯めます」

そりゃもう当然
「お前、そんなんで大丈夫かよ。
行くだけ行っても
宿に泊まれないんじゃ野宿?
金なかったら飯も食えないじゃん。
そもそも英語全然ダメってどうすんだよ」
と言う話になりますよね。
そしたらヤツは熱く語りました。

「先生、そんなこと心配しても何の解決にもならないんですよ。
風呂入れなくて臭くなっちゃうとか
メシ食えなかったらどうしようとか
そんなこと死ぬほど悩んでも何も解決しないんです。

問題は、どうしたらトップチームのリーダーに
俺を必要としてもらえるかなんです。
それができたら、そもそもそんなレベルの低い心配しなくていいんですよ」

なんと
こいつは最速チームのリーダーに面倒を見てもらうつもりなのでした。

アメリカにはジェット戦闘機の翼を外したようなマシンで
音速を狙ってるチームがあります。
そのマシンはボンネビルのイベントを走るわけではないのですが
マシンのオーナーが持っているチームは参加するので
そのチームに入れてもらうと。

こりゃ参りました。

何が参ったかって
大層大胆なことを考えているのは
参っちゃうっちゃぁ参っちゃうのですが

最上位の
トップエンドのゴールを設定したら
そもそも
最悪の
ボトムエンドの心配なんかしなくていいのだ
という理論ですよ。

これは凄いですよ。
まさにその通り!

そいつはその後どうしたか

高所恐怖症なのに一人飛行機に乗って渡米し

ホームレスのたむろするストリートを抜けて
キャンプ場にたどり着き
(ソルトレイクシティの空港は、徒歩で出られない構造なので
途中でおまわりさんに捕まったりしながら)

金がないので友達になったドイツ人のキャンパー一家に飯を食わせてもらい
(ご主人はF1マシンのメカニックだったそうな)

SNSで連絡を取ったトップチームのオーナーご本人に車で迎えに来てもらい
チームに入れてもらって
1週間チームクルーとして働きました。

最初は
言葉もできない外国人なので
全く信用されずに
荷物運びだったそうです。

でも最後には
マシン停止用のパラシュートを畳む
という役割をもらったそうです。
(パラシュートを畳むということは
ドライバーの命を預かるということなので
かなり重要な役割)

私が行ったときの写真なので、この話に出てくるマシンではありませんが
こんな風に後端の円筒形の部分にパラシュートが入っています

それで終わりかと思いきや

その後に開催された
バイク専門の最高速イベントにも
チームを紹介してもらってクルーとして参加

結局
1ヶ月半ほどアメリカにいました。
キャンプしたり
チームクルーのアパートに泊まったりして。

彼は高校生の時はラグビーしかしていなかったので
脳ミソが筋肉でできているような男でしたが
その後は私の研究室で
複雑なバイクの運動解析なんかをやってました。

結局、卒業前に
色々な意味で
世界一速いバイクを作るにはどうしたら良いか
という答えを手に入れたというお話です。

そんなの誰でもできることじゃないだろって?

いやいや、それ決めるの自分でしょ。

おまけ

スタート地点
右端のお方は、私のお師匠様 1960年代のホンダF1マシンの設計者 佐野彰一先生
ヤマハのRZ(現地ではRDですね)も走る
ホンダのZ? ライフ? オーナーは「解体屋で拾ってきた」と言ってました

雨のレースから学ぶ

以前、雨のレースが好きだというお話をさせてもらいました。
比較的、雨のレースでは成績を出せていたのです。
まぁ、得意ということですね。

それはなぜでしょう?

一つの理由として
オフロードレースのキャリアが長かったので
タイヤが滑ることに対する恐怖感が
そもそも少ないというのはあると思います。

とはいえ
タイヤが2個しかないバイクで
それなりのスピードでサーキットを走るのだから
滑りやすい雨のレースはリスクが高くなるわけです。
1回でもコケたらレースは終わりですしね。
濡れて寒くて不快だし。

レースは乗るマシンと
それをコントロールする人間のパフォーマンス
両方の結果が現れます。

雨のレースだと路面に伝達できるパワーの限界が低くなるので
乗る側のパフォーマンスがより重要になってきます。
肉体的なパフォーマンスとライディングスキル
この2つはいかんともしがたいのですが
精神的なパフォーマンスが結構効いてきます。

なぜかというと
人が発揮するパフォーマンスの根源に
精神的なパフォーマンスがあるからです。

式にすると
結果=マシンのパフォーマンス+(肉体的なパフォーマンス+ライディングスキル)×精神的なパフォーマンス
といった感じでしょうか。

精神的なパフォーマンスが低いと
肉体的なパフォーマンスも
ライディングスキルも発揮できなくなってしまう
というところがポイントです。

これをどうしたら良いか

簡単に言うと
別に雨を嫌う必要ないじゃん
ということです。

雨のレースは
雨が降っているのを見たときの
最初の印象で決まってしまう気がします。

「雨か、嫌だなぁ」
多くはそう思うでしょう。
当然のように。

でも
「嫌だなぁ」
という精神状態で
ベストなパフォーマンスが発揮できるでしょうか?

できないということは皆知っているでしょうけど
それも仕方ない
と思っていますよね。
いや、無意識だから
思ってもいないかもしれません。
「仕方ない」と自動的に受けれ入れてしまっている
と言ったほうがいいかもしれませんね。

そう
多くは「無意識」で「受け入れて」しまっているのです。

なので
雨によるパフォーマンスの低下をどうにもできない。
なんせ
すでに無意識で受け入れてしまっているのですから。
コントロールしたい対象が
自分の手の届かない
無意識の領域に行ってしまっているのです。

この解決方法はただ一つ
そもそも雨が嫌いではなくなることです。

雨の練習を増やすのはもちろん効果的ですが
勘違いでもいいので
「雨が好きだ」
と思い込むことです。

今まで無意識下にあって
自分でコントロールできなかったものを
意識的に変えてしまう。
これが結構効いてきます。

多くの場合
「嫌なものは嫌」
として
自分の意識から遠ざけてしまい
手の触れられない存在にしてしまいます。

でも、そこに重要な何かがあった場合
自分ではどうにもできなくなる
ということでもあります。

逆に
自分の無意識領域をコントロールできると
色々なことができたり分かったりする
ということですね。

こういうことが自由自在にできると良いのでしょうけど
なかなか難しいですね。

機会があったら続編を書いてみますね。