電気の時代がやってくる 本質編

EVについて色々考えていたら
何か分かった気がしたので備忘録。

EVが良いだの悪いだの
好きだの嫌いだの
という話ではない

EV化は手段(道具)に過ぎない
本質はもっと根底の部分にあって
手段にフォーカスしていると見えなくなる

クルマがが電気で走ることの本質は
これから世の中が大きく変わるということ
EVはそのきっかけで一部に過ぎない

どのくらい大きな変化が起きるだろうか

本来火を恐れるはずの人類の祖先が
火を手に入れて
生き方が変わったように

石器や土器をつくりだして
金属器をつくりだして
生活が変わったように

エネルギー密度の高い燃料である
石炭を手に入れて
蒸気機関車や巨大な蒸気船を
動かすようになったように

よりエネルギー密度の高い
石油を手に入れて
空を飛ぶようになったように

原爆を手に入れて
戦争が変わったように

今回はどのくらいのスケールの変化なのか
どのように変わっていくか
それは考えてもわかるはずはない
だって、これから起きることだから

正しい対応は
先を見通すことではなく
変化そのものをつくっていくこと

考えてもどのように変わるかはわからない
であればどうするか
いろいろやってみてるしかない
やりながら考えてつくり上げるしかないだろう

どうなるか
ではなく
どうするかだ

チャレンジする心が重要になる
まずは電気自動車に対応できるか
で試されるかもしれない
変化に対するリスクを取れないと終わり

テクノロジーは大事だが
最も重要なのはそれを駆動する心
チャレンジする心が明暗を分ける

正しい答えしか言っちゃダメ
という価値観から抜け出せなければ
前に進めなくなる

先がわからないのだから
正しい答えなんて
そもそも無いのだ

勇気ある馬鹿野郎が必要になる

電気の時代がやってくる 効率編

さて、日本も欧州に追従して
EV化していくことになりそうですね

とはいえ
「すぐにすべて電動化だ!」
という乱暴な方法ではなく
「この年から新車はすべてEVね」
という感じになるようですね。

でも
エンジンが好きな人には抵抗があるでしょうね。
あとは経済的な問題に対する抵抗感もあるかな。
電気自体は安いけど、EV本体はお高いですから。
単純に現状からの変化に対する抵抗感もあるかもしれませんね。

私なんかは
エンジン好きだし
ビンボーなので
今の車に高い税金課されたら困っちゃうなー
というクチですが。

100年前は市場原理でEVは消滅しましたが
今回はちょっと事情が違います。

化石燃料の埋蔵量とか
CO2の排出とか
各国の思惑とか
いろいろな事情が渦巻いてます。

なので
ここではもうちょっとシンプルに
モノとしての
クルマとしての
レベルで考えてみましょう。

EVの効率です。

基本的なところでは何でしょうね。
エネルギー効率かな。

ガソリンエンジンは効率30%
電気モーターは90%
とか言われてますね。

ガソリン自動車はガソリンという液体燃料
EVは電気で走るわけですが
電気は資源として採掘するものではありません。
多くの場合は燃料を燃やして
蒸気でタービンを回して発電する
火力発電ですね。
なので単純比較はできません。

こういった場合は
Well to Wheel
という考え方をします。

Wellは井戸です。
油田ですね。
Wheelは車輪。

油田から採掘されたエネルギーが
クルマを走らせるまでの効率を見るのです。
この考え方、最近はネットでも
ボチボチ見るようになってきたのではないでしょうか。

ではスタート。

まずは採掘した原油を100%とします。
これをタンカーで国内に輸送するので
輸送に要するエネルギーを差し引く。
ここまでは双方一緒です。

ガソリンの場合
原油からガソリンを取り出す精製効率があって

さらに国内はタンクローリーで輸送するので
またまた輸送に要するエネルギーを引いて

燃料タンクに給油して走る。
エンジンの効率が低いので
ここでガツンと効率が下がります。

100%の原油のうち
走行するのに使われるのは13%程度です。

でもこのところ
ガソリンエンジンの技術向上もめざましいので
実際はもうちょっと良いかもしれません。

EVの場合
原油から発電用に重油を精製します。
これはガソリンよりちょっと効率が良い。

火力発電所で原油を燃やして発電
ここでガツンと効率が下がります。

送電線で電気を送るにロスがあって

電池に充電して
モーターに給電すると
そこでもロスがあって

素晴らしい効率のモーターで走る。

100%の原油のうち
走行するのに使われるのは18%程度です。

なんだ
あんまり変わらないじゃん!
その通りです。
でも、EVの方がちょっと良いですね。

双方ともに
エネルギー効率が
ガツンと下がるのは
エネルギー変換が起きるところです。

例えば
エンジン内部で起きる
液体燃料のカロリーから運動エネルギーへ

発電所で起きる
液体燃料のカロリーから運動エネルギー
そして電気エネルギーへ

そんなときにロスが出ます。

EVは排気音がなかったり
排ガスが我々の目の前で出ない
という点では
EVの方がいかにも高効率で
クリーンなイメージがありますけどね。

あとやはり
EVで現行の自動車と同じような使い方
つまり
同じような速度で同じような距離を走る
というようなことをやろうとすると
重いバッテリーをいっぱい積まないといけないので
クルマそのものが重くなり効率を上げにくい。

クルマ単体で言うなら
充電時間のことも含めて
バッテリーの革命が必要そうです。

大学内の蛍光灯は軒並みLED化してます
気付けば街中の街灯もLEDですね

全国でどれくらい電力消費が削減できているのでしょうか

EVの電池について

前回の投稿で
「ガソリンはバッテリーの100倍くらいエネルギー密度が大きい」
というようなことを書きました。

今回は
ガソリン自動車の燃料タンク
イコール
バッテリー
では無いのですというお話を。

どういうことかというと
燃料タンクは単に燃料の入れものですが
バッテリーは違うんですよという話です。
電気に詳しい人にとっては当たり前な内容で恐縮ですが。

バッテリーは大きさと性能によって
入れられるエネルギー量が決まるのはもちろんですが
出すときの性能も重要なのです。

つまり
超ハイパワーなモーターがあったとしても
いっぱい電気が貯められるバッテリーがあったとしても
超加速が良くて超スピードが出るクルマになる
というわけではないということです。

ガソリン自動車は単にハイパワーなエンジンで性能を上げられますが
EVの場合はモーターだけで単純に性能を上げられません。
ドーン!とたくさん電気を吐き出せるバッテリーの性能も必要になります。
バッテリーは単なる電気の入れものではないということです。

なので
エンジン+燃料タンク
イコール
モーター+バッテリー
と言った方が分かりやすいかもしれませんね。
出せるパワーはモーターとバッテリーの両方で決まる。

EVの時代がやってくると
バッテリーには色々な要求が課されます。

軽くて
小さくて
ロス無くたくさんの電気がすぐに入って
放っておいても電気がなくならず
ドカンと電気を出せて
安全で
レアな資源をあまり使わずに
寿命が長くて
しかも安い

そんな高性能なバッテリーが求められます。

でも多分、当分は無理なので
当面は使い方を変える
つまり今のクルマのあり方を変える
という方向に進まざるを得ないでしょうね。

EVによって本当に環境負荷を低減できるのは
革命的な性能を持ったバッテリーが誕生したときだと思います。

ダイソンの充電式ハンディクリーナーのバッテリーを「殻割り」してみました。
結構繊細な制御基板が入ってるんですね。

きけんなのでよいこのみんなはまねしないでね

電気の時代がやってくる

経済産業省が
2030年代半ばにはガソリン車の
新車販売をなくす目標を設ける方向
で調整するそうですね。
ビッグニュースですが
経済産業省のサイトには情報がありません。
なんでだろう。

「目標を設ける方向で調整」ですから
「目標を設ける」
とすら明言していないわけですが。

もしガソリン車をなくすということになれば
ハイブリッドや燃料電池を含む電動車両にスイッチする
ということですね。国策として。

ところで
電動車両は最近に始まったことではありません。
1900年頃のアメリカでは
色々な動力源を持った自動車がありました。

100年以上前に
蒸気自動車
電気自動車
ガソリン自動車

の3つがあり
それぞれ異なるメーカーが作っていました。
消費者は、これらから選択できたのです。

当時のそれそれに対する評価はどうだったのでしょうか。

蒸気自動車

長所
・スピード速い 登坂力大
・発進加速力大
・静粛 振動小
・変速操作不要
・始動にクランク不要

短所
・操作に専門知識必要
・火災の危険
・頻繁な水の補給必要
・冬季ボイラー凍結
・冷間時の始動に時間かかる

電気自動車

長所
・静粛 清潔 振動小
・においなし 排気なし
・運転容易
・整備の手間がかからない
・始動にクランク不要

短所
・航続距離短い
・電池重量過大
・スピード遅い
・電池交換必要

ガソリン自動車

長所
・長距離走行手間かからず
・修理 運転容易
・スピードそこそこ速い

短所
・うるさくきたない
・ひどい振動
・有毒な排気ガス
・始動にクランク必要
※「クランク」とはエンジン始動のために
車の前方から突っ込む棒です。
これを人力で回してエンジンを掛けるのですが
労力が必要だし
突然逆転したりして怪我をするなど
評判が悪かったのです。
ウィキペディアにはスターティング・ハンドル
として解説がありますね。

それぞれの長所で言えば
蒸気自動車は静かでパワフルだったし
電気自動車は静かで清潔で運転が簡単だった。
ガソリン自動車は長所そのものが少ないですね。

でも皆さんご存じの通り
生き残ったのはガソリン自動車です。

興味深いのは
ガソリン自動車が生き残ったのは
長所が他より優れていたからではないということです。
その理由は短所にありました。

蒸気自動車はボイラーの短所
冷間からすぐに走り出せなかったり
水の補給が必要とか冬は凍っちゃうとか

電気自動車はバッテリーの短所
エネルギーがあまり入らない割には重いし大きい
寿命の割に値段が高い
すぐに電気がなくなる割に充電に時間がかかるとか

これらが技術的に解決できなかったのです。
そして基本的なところは現在も変わっていません。

対してガソリン自動車の短所は技術的に解決可能でした。

さらにガソリンはエネルギー密度が高いことも大きな理由の一つでしょう。
同じ重さならバッテリーの100倍くらいエネルギー量が大きい。

その後
スターターモーターが装備されて
エンジン始動が容易になり
ヘッドライトがアセチレンランプから
電球で点灯するようになるなど
電気によって利便性が向上したのも皮肉です。

この当時に存在した電気自動車ですが
ネバダ州にある
世界最大のクラッシックカーの博物館
National Automobile Museumに行った際
実車を見ることができました。
写真撮っておいてよかった!

著者撮影

博物館の説明板より
1912年製 ベイカー V スペシャル・エクステンション・クーペ(Baker V Special Extension Coupe)
当時の価格は2,700ドル
モーターの駆動電圧は60ボルト

ウォルター C ベイカーがオハイオ州クリーブランドに設立したBaker Motor Vehicle Companyにて製造された電気自動車である。彼は最も洗練されたアメリカ製の電気製品を作った。
静かで発進と運転が容易だったので特に女性に人気があった。
1900年にニューヨークのマジソンスクエアガーデンで開催されたナショナル・オートモービル・ショーで発表され、軽量な構造で注目を集めた。
50マイル(80km)毎に充電が必要で、高速走行や坂道の登坂後はすぐに充電が必要になった。そのため郊外を移動するより街中を移動する用途に適していた。
蒸気自動車は650~1,500ドル、ガソリン自動車は1,000~2,000ドルだったのに対し、電気自動車は1,250~3,500ドルで高価だった。
値段が高い割に長距離移動ができなかったため1916年に生産打ち切りとなった。

そして時代は電気自動車にシフトしようとしています。
今回はどうなるでしょうか。