限界にぶち当たれ

普通にバイクに乗っているなら
特に限界を追求する必要はないですよね。
そんなことしてると
「何をやっとるんだね、チミは」
ってなことになっちゃうんですが
ことレースとなると話は別で
限界を知らないと良い成績は得られません。

当然ですが
限界に達したことがなければ
最大のパフォーマンスは出せません。
当たり前ですが
最大のパフォーマンスは限界値ですもんね。

バイクのレースで言ったら
転ぶところまでやらないと
どうなったら転ぶか分からない
それが分からなけりゃ
最大のパフォーマンスは得られない
ということです。

なので
転ぶ経験が必要です。
わざと転ぶというのとは
ちょっとニュアンスが違いますが。

なので
ロードレースをやっている人なんかは
未舗装のフラットトラックとかモトクロスなど
滑りやすいコンディションで
限界域のコントロールを練習したりしますね。

どこが限界か分からないと困っちゃうのは
何もレースの世界だけではなく
他の多くのことも共通です。

失敗したことがなければ
どこまでやれるか分かりません。

往々にして
そういう状態だと楽しくなってきません。

楽しくないと一所懸命やらない
もちろんそれは限界からはほど遠い
となると
どこまでやれるか分からない
と、振り出しに戻ってループする
ならまだ良いけど
大抵は途中でやめる。
当然です。

恐らくそうなってしまう原点は
失敗したくない
ですよね。

レーシングカーを作ってる学生を見ていると
よく分かります。

最初に
レーシングカーを作るぞ!
とチャレンジすることを決めるのはOKです。
その決断には相応の勇気が必要だと思います。

でもその後に選択肢が現れる
というか
姿勢が試されます。

勝ちたい!
or
失敗したくない!

この2つ
あまり違いが無いように見えますか?
これが結構違うんですよ。

分かりやすい例でいくと

ある部品を設計していたとします。
レーシングカーは軽さが命です。

「勝ちたい!」
で設計すると
強度ギリギリの軽い部品が設計できるかもしれません
が、それはテストで壊れる可能性が高い。

でも、壊れたら必要な強度を与えて
再設計すれば良いんです。

「失敗したくない!」
で設計すると
往々にして強度に余裕を持った部品ができます。
もちろんテストでも問題が起きない可能性が高い。

でも、その部品をさらに軽くして
性能を上げるのは難しいのです。

一度余裕を持って設計してしまうと
そこから攻めるのは勇気が必要です。
それに何より面倒くさい。
これ、強敵です。
特に
攻める勇気が無くて面倒くさがりな人には。

なんかやってることが矛盾してるように見えますよね。
でも、こういうケースは良くあります。

正直なところ
そうなっちゃうのも仕方ないとも思います。

だってね
小さい頃から
「失敗しないように!」
って散々言われて育ってくるわけでしょう?
親や先生は当然のこと
メディアはすぐに失敗した人を吊し上げるし。
「失敗は悪だ」みたいに。
そうなちゃってもしょうがないですよ。

なので
良い子ほど
チャレンジして失敗する経験ができないので
良い仕事ができない
ということになるケースが多いのです。
なんと皮肉な。

超元気な学生だって
最後に何を言うかと思ったら
「~が起きないように!」
とか失敗しないことを狙ってたりしますからね。

さて
ここで冒頭に戻りましょう。

転ばないと限界が分からないんですよ。
転ばないようにやるんじゃなくて
転ぶまでやってみれば良いんです。

学生のうちにその辺を意識して
チャレンジする経験ができたら良いですね
そのチャンスがあったら
ぜひ掴んでほしいものです。

あとね
失敗が怖い人は
失敗にフォーカスしているから失敗しやすい
っていうのもあります。

誰しも過去の経験のうち
失敗の方が多かったりするし
チャレンジすれば、いずれは失敗はするので
失敗が怖い人は
「どうせうまくいかない」
が説得力あるリアルな経験として記憶されて
それが主役になっています。

もちろん他人にも
「どうせうまくいかないからやめておけ」
と言うでしょうね。
本気で。
だってリアルな経験の記憶があるから。

恐れずにチャレンジするというのは
恐れてやらない者から見たら
ただのバカなのかもしれないけど
だったらバカになるしかない。

だってそうしないと限界分からないじゃん。

サーキットで限界探って転んじゃうのを
レースに興味が無い人から見たら
ただのバカに見えるのかもしれない。

結局は
超シンプルなんですよ。

成功することを夢見てやるか
失敗を心配するか
その2つしかなくて
どっちが視野に入っているかが重要。

成功するためにチャレンジする人は
どうしたら成功するかを見ているので
成功する可能性が高い
というだけの話です。

失敗しても諦めずに続けるには
好きなことをやるとか
やっていることを好きになるとか
その先にあることを想像するとか
諦めない理由を作ることが大事かもしれません。

そういうお前は成功してんのかって?

いやいや、まだ成功してないと思ってます。

変われるかどうかがカギなのよ

向上心って大事ですよね。
何かを今より良くしたい
ってね。

でも
なかなかうまくいかないことも多いですよね。

当たり前ですが
現状より良くなる
ってのは
現状ではなくなる
ってことです。
今のままのやり方では
結果は変わらないのですから当然です。

なので
うまくいかないときは
現状から変われていないことが原因です。
もちろん自分がね。

これ、言うのは簡単ですが
なかなか手強い。

自分が自分のことを一番よく分かっていて
自分のことは自分でできる
と思いがちですが
なかなか思い通りにいかなかったりします。

意外なことですが
成功を望む人でさえ変わりたくない
と思っている場合が多いのです。

現状が成功していないのであれば
現状を変えなければいけないのにね。

だって
現状は成功していないわけでしょう?
変わらなければいけないのは当たり前ではないですか。

でも、ついつい
現状のままで良くならないか
なんて思ってしまう。

いや
思ってすらいないのに
自動的にそうなってしまう
といった方が良いかもしれません。

実はこれ
生存本能が原因にあるそうです。

今、自分が生きているのはなぜか?
それは昨日の行動があったから。

であれば、昨日と同じことを繰り返せば
生き残ってける可能性が高い
ということです。

なので
考え無しで自動的に同じことを実行してしまう。

「癖」ってそういうことでしょう?
凄いシステムになってますね。
生き残るためのことを
自動的に繰り返しちゃうんですよ。

「あー!自分は成功したいのに
何で同じこと繰り返しちゃうんだろう!」

と気付ける人はまだ幸せで
それをなんとかできるチャンスがあります。
だって気付いているんだから。

あとは色々と多くを試して
これだ!
と思ったら
「恥の上塗り」
じゃなくて
考えて 行動して 繰り返す
「癖の上書き」
をすれば良いのですよ。

すぐには結果は表れないかもしれませんが
変わる面白さを実感できれば色々うまくいくと思いますよ。

と、こういうことを
バイクのレースやってるときに考えたりしていました。

なかなかラップタイムが良くならない時って
そもそもダメなやり方してるのに
それをもっと頑張ることによって
何とかしようとしていることがあるんです。

そういうとき
今までと違うアプローチで何かを試すって
すごく勇気が要るんですよね。

物事の本質って
結構共通していて面白いですね。

やはり「技術は人なり」だ

お付き合いのある
とある会社の社長さんが
我が夢工房に来てくれました。
F1とかMotoGPなどの
トップカテゴリーのマシンの部品はもちろん
ジェットエンジンとかロケットとか
とにかく最先端の部品を
世界最高の精度と品質で作る
凄い会社の社長さんです。

世界中の(「日本中の」ではありません)トップカテゴリーの
ほとんどのチームがその会社に部品を発注しているので
どのチームが勝っても嬉しいという凄い仕事をしてます。

レーシングマシンの仕事しかしていないわけでないけど
こんな表現ならレベルの高さが分かりやすいのではないかな。

本学の卒業生もその会社で良い仕事をしてますし
仕事をオーダーしているチーム側の設計者も
私の研究室の卒業生だったりします。

嬉しいやらありがたいやら。

今まで何度も工場を見せてもらって
話を聞かせてもらっていますが
そのたびにビックリしたり納得したり。

話を伺っていて
エンジンからEVにシフトするとか
自動車そのものの形態が変わっちゃうとか
これから色んなことが大きく変わるだろうけど
高いレベルにチャレンジできる組織は生き残っていくんだな
と感じました。

「これからはEVだ」
と聞くとすぐ動いちゃったり
フラフラすると生き残っていけないみたいですね。
トレンドに追従したくなる気持ちは分からなくはないけど。

チャレンジして強みを作って磨いていく
本筋はこれだな。

やっぱり「人」だな。
と思いました。

チャレンジする人が
高い技術を必要とする
高い技術を生み出す

「技術は人なり」
ですよ。

結局は本人次第なんだけど
背中を押すことはできるはず。

夢工房では
せめて原石を割って
宝石が見えるくらいのところまでは持っていきたいものです。