教えたら分かるのか

Formula SAEの指導教員は、ファカルティ・アドバイザーと呼ばれます。
単なる指導教員と違うところは…

教えないことです。

意外ですか?
Formula SAEは学生主体で進めるべきイベントですから、教員は具体的な指示は出せないのです。

学生に、ああしろこうしろという教え方はしない。
でも、責任はかかってきますよ。これで1円ももらってないのにね(笑)

私の場合は確認作業が中心ですね。
学生がやろうとしたこと、やったことに対する評価です。
安全面とかお金の面とか、あとは技術的なことに対する評価が中心かな。
戦略面とかマインドの面でもアドバイスをすることもあります。
前職が自動車開発だったし、レースもやってたもんで、その経験を活かしたアドバイスもできます。

当チームの場合は、評価が大事だと思っています。
成果の評価によって現状を把握するわけですが、それによって越えるべきハードルが明確化されます。
人の成長って、このハードルを越えること、つまり困難を打破するチャレンジによってなされるわけです。

で、チャレンジすると当然失敗します。失敗してナンボです。
考え無しにチャレンジして失敗するのは論外ですが。

失敗の中には大事なことがたくさん隠されています。
でも、多くの人は幼少の頃からそこを見ないように、失敗そのものが起きないように育ってきますよね。
ああ、もったいない。

なんでそれが起きたの?それはなんで??って失敗を掘り返しましょうよ。
シンプルな本質が見えてきたらゴールは間近です。
クヨクヨ悩んじゃダメですよ。

アドバイザーの立ち位置はチームによってだいぶ違うでしょうね。
中にはアドバイザーがほとんど関与しないチームもあるのではないかと思います。
その場合、学生は自由気ままにやることができる反面、成長が制限されることもあると思います。

なぜかというと、手を抜いてやらないのも自由だから。
特に安全面などで手を抜くとクリティカルな結果が待っています。
あと金銭面も同様でしょうね。

反面、ああしろこうしろという教え方をすると何が起きるかというと
学生は、それを覚えようとしますし、学生は「指示待ち」に入りますよね。

こうなると学びと言うより
覚えただけでしょ。言われたことをやっただけでしょ。
ってなっちゃいますよね。
何もしないよりは遙かにマシですが。

基本的にはファカルティ・アドバイザーは、必要とされたら教えます。そこが大事。
欲してもいないことを教えたところで、大して役には立ちませんよ。

「求めよ さらば与えられん」

です。

カーボンファイバーの積層実験中

カーボンファイバーもずいぶん長い付き合いになりますが、まだまだ奥が深いですね

人の燃費

身体活動量の多い成人男性の一日の必要摂取エネルギー量は
2,400kcal~3,000kcalだそうです。(農林水産省HPより)
真ん中を取って、2,700kcalとしておきましょう。

ガソリンの1リッターあたりの熱量は、8,500kcalです。
排気量1,800ccで、車重1,300kgの乗用車
燃費はリッターあたり15kmくらいでしょうか。

とすると、成人男性の一日の必要摂取エネルギー量で
車重1,300kgのクルマで4.8km走れることになるんですね。普通の走り方で。

1,000ccのスポーツバイク、車重は200kgくらいで
燃費はリッターあたり20kmくらいですかね。
この場合、6.4kmいけます。

人間の燃費、どうなんでしょうね。
実際のところは、体だけを動かしているわけではなく
脳というカロリー消費マシーンを動かしているので
そう単純な話ではないのでしょうけど。

そんなことを考えていると、虫って凄いなと思っちゃうんですよ。
例えば、アリなんて大してカロリー摂ってないのにずっと動いてますよね。
摂取エネルギー量に対する運動量はどうなんでしょう。よくわからないけど。
でも、精密な構造してるし、体重と体の強度の比率を考えても凄いと思いますよ。

我々人間ののテクノロジーでは、まだまだアリのようなものすら作れません。
自然って凄いですね。神のなせる技ですよ。

しかしチャレンジはする!

Formula SAEは燃費も競います
かつてオーストラリア大会で2位を取ったマシン
軽さは燃費のみならず、運動性能のキーファクターです

ゴールからいこう

桃太郎のお話を説明しろ
と言われたらどうしますか?

「昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが…」

とやっていたら、絵本の最終ページにたどり着くまでどんな話なのか分かりません。

なので

ミラクルな少年が鬼をやっつけて、良かった良かったという話です。
おじいさんとかおばあさんとか、桃から生まれたとか、お供がどうのとかの詳細は後で説明してもOKでしょう。

大事なのは鬼をやっつけることです。ゴールです。
恐らく桃太郎のお話を考えた人も、ゴールから構成していったに違いありません。

技術に関するコミュニケーションも同様ですね。

経緯から話すのでは無く、まずは結論から。
起承転結なんてやってたら何が言いたいのか分かりませんからね。

ゴール無しで細かいところからいくと必ず迷走します。
何のためにどうすべきかが無いわけですから。

レーシングマシンはゴールが明確です

全ては勝つために!