最近のバイク CRF450Rその5

その1その2その3その4に続き、またまたまたまたCRFです。

今回はブレーキローターです。

いわゆるウェーブディスクですね。
フロントも同様の形状です。

外径が旧来の円形状ではなくギザギザしてます。
見るからに軽そうですね。
最近のスポーツバイクでは良く見るようになってきました。
最初にやったのは、アフターマーケットパーツメーカーのBRAKING社だったかな?
違ってたらすみません。

メリットは何といっても軽量で放熱性が高いという点でしょう。

ブレーキは、マシンの運動エネルギーを熱エネルギーに変換して大気中に捨てる装置ですから、放熱性は設計のキモです。

あと、回転する部品の軽量化はジャイロ効果を低下させるので、運動性能向上に効きますし、ブレーキローターはバネ下部品なので路面追従性も向上させます。

こんな特性を持っているのでレーサーやスポーツバイクには最適でしょうね。
デメリットとしては、生産コストと寿命ってとこでしょうか。

ブレーキローターを設計するときに、よく冷却やパッド表面のクリーニング効果を狙って穴を設定しますが、この位置には注意が必要です。
写真のローターにもいっぱい開いてますね。

穴位置を均等ピッチに配置すると、ブレーキをかけたときに「ピュー」って音が出ちゃうんですよ。
なので、わざと均等ではない位置に穴を設定します。

なんでそんなこと知ってるのかって、そりゃそういう設定のヤツに乗ったことがあるからです(笑)
一般的に市販されてる乗り物で、そういう設定になってるのはまずあり得ないでしょうね。

あ!でも、昔のロードレーサーは均等ピッチの穴開きローターがあったはずです。
今、これを書いていて思い出しました。
サーキットのストレートエンドで、「ピュー!」「ピュー!!」って鳴ってました。
あれはあれで格好良かったなぁ。

本学チームの学生が設計したマシンも不等ピッチで穴位置を設定してあります。

同じ理由で、タイヤのパターンも設計されてるんですよ。
回転方向に対してブロックの長さは微妙に不均等になってます。
そうしないと「ウィーン!」ってロードノイズが出ちゃうから。

「理想」の反対は「現実」なのか

理想を、夢を実現するために努力していると
「現実から逃げるな」
とか言われることありませんか?
余計なお世話ですよね。

現状が納得できないので
理想を立てて実現するために努力する。
これは「逃げ」ではないでしょう。

では仮に
言われたとおりに現実を見るとして
一体何をすれば良いのだろうか。
身の丈に合ったことをすれば良いの?
今できることをやれば良いのか?
それをやり続ければ良いの?
それでは成長が無いのではなかろうか?

そもそも、「現実から逃げるな」とは
何のためのアドバイスなのでしょうね?
誰をどうしたくてそんなことを言うのでしょう?

そもそも
「現実から逃げるな」
などと言う人間と関係を持って
その影響を受ける環境にいること自体
当人にとっては良い事ではないのではないかと思ってしまう。

「現実から逃げるな」
の前に
「夢みたいなこと言ってないで」
と付く場合もありませんか?
「夢みたいなこと」を言っていてはいけないの?

まぁ、行動が伴ってないならそうも言いたくなるのは分かりますが。

「自助論」という100年以上前に書かれた偉人伝のような本があります。
昔の成功者達が
みんなが無理だと言うことをやって
ヘマこいて
ヒーヒー言って
諦めずに頑張って成功したという内容です。
この本の本質の部分は今も何ら変わらないでしょう。

身の丈に合わない理想を実現しようとするからヒーヒー言うのですよね。
で、諦めずに頑張ると成功するって前例があるわけですよ。

じゃぁ、夢を見て、実現するために頑張るって正解じゃないですか。

過去に「好きなことを仕事にすると辛いぞ」
とアドバイスをくれる人がいました。
実際にクルマの開発を仕事にしてみたら最高に楽しかったですね。
まぁ、大変な仕事なのは間違いないですけど。

今や世界最大の大会”Formula Student Germany”には2008年に出場しました。

夢見て良いんじゃない?

今年は久々にエントリーしましたが、コロナ禍で中止となってしまいました。
きっとそのうち再度チャレンジ!

自由な発想を妨げているのは誰だ

レーシングカーは、勝つためなら何でもありです。
レギュレーションを破らない限りは。
何でもありというのは、目的を達するためには
どんな「手段」を使っても良いと言うことですね。
当たり前ですが。

さて
学生がレーシングカーのある部分を設計しているとします。

ある部分の設定を決めようとしているときに…
具体的に、ある部品の固定方法を検討しているときに…
としましょうか。

その際、あまり考えずに
「こうなってしまう」
と決めてしまっていることがあります。

「この部品を固定するには…ここにボルトを…」

いや、ちょっと待って!

そもそも
ボルトを使う方法しかないの?
そこにボルトを配置するしかないの?
それ、「良い方法」なの?
どんな手段を使っても良いんだよ!

本当はこうして欲しい

この部品を固定するには、これとこれと…こんな方法があるね。
それぞれこんなふうに配置できる可能性があるね。
で、比べてみると、それぞれこんなメリットとデメリットがあるから…
マシンコンセプトを考えると、これがベストだな!

という感じに、まずはアイデアを色々出して広げていく。
次にそれらを比べて、優れたものが「良い」でしょ。

経験を積んだエンジニアなら
直感的にベストな方法を「引き出し」から引っ張り出しますけど
まずは引き出しを増やして欲しいのです。

たくさん出してみたアイデアの中には
その時には適さないものとか
劣ったものとかがあるでしょうけど
まずは広げましょう。
ベストな答えを一個だけ出そうと思って悩んじゃダメです。

次に先入観の枠を外して、いっぱいアイデアを出してから選択。
その時に、色々出たアイデアを組み替えることもできるし
改めて気付くこともあります。

最後に集中。
選んだものを磨きましょう。

急ぐ気持ちも分かるけど
色々出したら視野を広げて選択して集中して
ベストなやり方をしたほうが最終的には早いものです。

選択もせずに思い込みで事を進めてしまう陰には
無意識のうちに発動してしまう何かがあります。

一番多いケースは「めんどくさい」かな。どうでしょう?
最低限の手間で楽したい。

あと、「広げる」段階では
ダメっぽいアイデアが出る可能性はあるわけで
「ダメなものを出したくない」かな。

ダメなものが明確になるから
良いものがどれくらい良いか分かるのですけどね。
なので、アイデアを出す段階で
間違えたら、失敗したらネガティブなことが起きる。
だから間違えたり失敗したりしちゃダメだ。
なんて考えちゃイカンのです。

まぁいずれにせよ
そうなってしまうのはある程度は理解できます。
でも、その結果はどうなるでしょうね。

「ここはこうしなければいけない」と
誰に言われたわけでもないのに
先入観で制限をかけていることが意外と多いものです。
まさか自分自身が自身の自由な発想を妨げているなんて!

自由な発想で作った軽量コンパクトな初号機はFormula SAEの歴史を変える力を持っていました
2002年の話です